第十一章 VS 9
「あっ!?あれは!!」
数分歩いたところで、早川が声をあげた。目の前には4台のバイクが止めてあり、その先には洞窟の入り口らしき穴があった。入り口は思った以上にせまく、屈まなければ入れそうもなかった。
「間違いなくここね。とにかく教授たちに事情を説明しましょう。」
まず、友香が屈みこんで体を滑り込ませた。そのまま、奥に向かって声をかけた。
「教授!青柳教授!」
友香に続いて早川たちも穴に入った。ここはこれまでの洞窟とは違い薄暗かった。それでも辛うじて内部の状態は見えた。
中は入口と同様に屈まないと進めず、四人は屈んだまま奥へと進んだ。
五十メートルくらいの距離だったが、屈んだままの姿勢で前進するのはかなり辛かった。
狭い通路を抜けると、一転開けた空間が目の前に飛び込んできた。そこはこれまでの洞窟と同じように壁一面光っていて、眩しいくらいだった。
「君たち四人だけかね?」
友香の声に気付いて、教授達が集まっていた。四人は通路から抜け出すと、これまでの経緯を話した。
「では、他の連中がどうなったのかもわからないんだね?」
「はい。なのでバイクでキャンプまで引き返そうと、とりあえずここまでやって来ました。これから、すぐに引き返して、皆がどうなったか、そして、車に乗っていたのが誰だったのかを確認してきたいと思います。」
早川が事情を説明し終えると、竹下が、
「外を警護している兵士達には伝えておこう。くれぐれも気をつけるんだぞ。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
「ちょっと待つんじゃ!」
引き返そうとする早川達をサジが呼び止めた。
「きっと、車を運転して来たのはエメランの連中じゃ。最初にあった時に話したじゃろう。お前さんの仲間を導いてくれた隣の集落、エメランじゃ。あの後、あ奴等も地上へ逃げたはずじゃ。エメランの真上辺りが、どうやら車を停めた辺りみたいじゃから、大方、車を取りに向かったロジャーとバッタリ出食わして、バイクの移動を手伝ったんではないかのぅ。じゃから、それに関しては心配はいらん。エメランの連中はきっと、バイクを運んだ後、再び戻ったはずじゃ。」
やはり、早川達が予想した通りホルキンス人だった可能性が高くなった。
「但し、あくまでもワシの予想じゃから、油断はせんようにな。こちらの事は心配せんでもええ。この洞窟の事は知り尽くしておる。万が一襲われても逃げる術は、いくらでも知っておる。もし、お前さん方が戻ってきた時にワシらがおらんかったら、この先を・・・」
そう言ってサジは万が一の時逃げるルートを説明してくれた。早川は忘れないように何度か頭で復唱した。
「陸。ちゃんと覚えた?」
「大丈夫。記憶力はいい方だ!」
「よし、行こうか!」
安藤が先陣を切る形で四人は再び狭い通路を引き返した。
「問題は、他の皆と合流出来るかだな。あの時は咄嗟に全力で走ったから誰がどの方向に進んだのか確認する余裕もなかった。ウォーレンだけは西の方角に走る姿を確認したがな。」
先頭を行く安藤が進みながら話す。
「きっと、皆も気付いて戻っていると思いますよ。」
早川はそれに対し、根拠ではなく願望を口にした。
「だといいけどな!よし、出口だ。ホントにこの姿勢で歩くのは堪えるな。足はパンパンだし、腰も痛ぇ。」
外に出ると、四人は体を回したり、屈伸したりしてからバイクに跨った。
「念の為、キャンプに近付いたら警戒はした方が良さそうだな。川の手前までバイクで行って、そこからは歩いて様子を覗おう。」
「了解!」
安藤の提案に三人が返答し、それを合図に発進した。さすがにバイクだと、あっという間に川沿いに到着した。四人はバイクから降りて、橋など無い幅一メートル程の川をジャンプして飛び越えると、周囲を警戒しながら慎重にキャンプ地に向かって進んだ。
「やはり、車と、バイクも止まってますね。人影は・・・誰かいますよ。あの姿はロジャーのようです。他には見た所誰もいません。」
「まさか、罠なんて事はないわよね?」
出来る限り態勢を低く保ちつつ、四人は静かに進んだ。
「やっぱりロジャーの姿しか見えませんね。ただ、バイクは全て運び終えたみたいです。六台ありますね。」




