第十一章 VS 4
「さて、ロジャーが戻ってくるまでの間は特にすることもない。とは言っても、あと30分もすれば戻ってくるはずだが・・・。それまでは各自自由に行動するといいだろう。但し、出来る限り互いが見える位置で行動してくれ。私は順平君と細かい打ち合わせをしておく。」
今、この場にいるのは、二人を除けば、早川、友香、安藤、真由、佐々木、レイニーの六人だ。皆、その場を動こうとはしなかった。
「ロジャーは予定ではもう車があった場所に着いた頃でしょうね。」
早川が森の方を見て呟いた。
「本当に一人で大丈夫ですかね?」
レイニーも同じ方向を見つめながら、不安そうに呟いた。
「あれだけ背も高いんやから大丈夫やろ!」
「いや、身長は関係ないと思いますよ・・・」
「まっ、そらそうやな。」
自分で言いながら大声で笑う佐々木は相変わらずだった。
「やっぱり化粧とか全然出来ないわよね。」
友香が顔の肌を触りながら、ため息交じりに真由に話しかけた。
「ほんと、せめて乳液くらいは持ってくるべきだったわ。肌がカサカサして、大変。」
女子らしい会話で盛り上がる二人を余所目に、早川はもう一度空を見上げた。やはり、さっきよりも大きく、誰の目にも見える位置まで近づいていた。佐々木はレイニーと何か他愛の無いことで口論となっている。
「あの二人は仲が良いのか悪いのかわからないな。まあ、ああやって言い合うのも息抜きになるかもしれないし、佐々木って奴はある意味大事なムードメーカーだよな。」
「本当ですよね。ある意味羨ましいですよ。」
しばし平和な時間が流れ、30分ほど経ったころロジャーの乗った車が見えた。
「来ましたね。」
早川や安藤が近づこうとすると後ろでウォーレンが叫んだ。
「待て!ロジャーじゃないぞ!車の後ろを見てみろ!バイクも数台見える!」
「逃げるぞ!走れ!」
「走れってどこに!」
「どこでも構わん!とにかくノレッセの可能性が高い!どうやったかはわからんが車を奪われたようだ!」
「ロジャーは?」
「それもわからん!とにかく今は逃げるんだ!」
早川はロジャーの事が気になってその場を動けずにいた。そこへ安藤が平手打ちを食らわした。
「なにしてんだ!逃げろと言ってるだろう!ロジャーの事は後で考えろ!」
そのまま腕を引っ張って走る。佐々木とレイニーは南へ走っていた。ウォーレンと順平は西へ、残った早川、安藤、友香、真由は北へと走った。どのくらい走ったのだろう。もう息が続かず、その場に倒れこんだ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
すでに早川には後ろを振り返る元気も無かった。
「こ、こっちには来てないようね・・・さすがに、ちょっと休まないと、もう走れないわ・・・」
友香が後ろを確認して、その場に座り込んだ。同じように、安藤と真由もへたりこんでいた。




