第十一章 VS 2
しばらくの間、皆、無言のまま時が流れた。そんな沈黙を破るように背後から声がした。皆が一斉に振り返る。順平だった。
「兵士の方々には伝えておきました。リーダーの山本さんを中心に作戦を練るそうで、いったん持ち場を離れ集合するそうです。こちらでは何か進展はありましたか?」
「いえ、ノレッセをよく知るウォーレンも今回ばかりはお手上げのようで、何か良い案は無いかと皆で思案していた所です。」
代表する形で早川が言うと、
「そうですか。向こうでも、相手の事がわからない上に、この星に土地勘もなく、全体の地形も把握できないため、作戦会議は難航してました。ただ、わからないものを考えても答えは出ないので、このままこの場所でひとつに固まって、相手の出方を窺うという方向にはなりそうでした。」
「たしかに、わからないものをいくら考えていても仕方がない。ここは、相手の出方を見るのが一番妥当かもしれんな。但し、ここには仮設の建物やロケットがあり目立つ。着陸の際、向こうから発見される恐れも高いだろう。少しは場所を移動した方が良いかもしれんな。」
「そうですね。それは向こうでも危惧していました。ただ、これだけの人数であまり遠くに移動するのも現実的には厳しい状況です。それに皆さん疲労もピークでしょう。」
すると、サジが、
「ここから北に向かえば、1時間ほどで身を隠すには十分な洞窟があるはずじゃ。そこならなんとか移動できるじゃろ。」
「なるほど、ここよりは安全が確保できそうだ。順平君は無線で兵士たちにこの事を伝えてもらえるか?もう少し休んでもらいたかったが教授にも起きてもらわなければならないな・・・悪いが誰か・・・」
と言いかけて、後ろで声がした。
「その必要はない。話は聞かせてもらった。皆、すまなかった。どうやら気を使わせたようだ。しかし、お蔭でだいぶ楽になったよ。有難う。」
しかし、表情を見る限り、まだかなり辛そうだった。果たして青柳はこんな状態で1時間も歩くことが出来るのだろうか・・・
「あっ!?」
思わず早川は大声を上げてしまった。あまりの大きさに皆、驚いて、一斉に早川を見る。
「どうしたんだ、いきなり大声なんか出して!」
少し怒ったように安藤が聞くと早川は興奮して話し始めた。
「たしか、最初にウォーレン達と出会ったのは森を入ってすぐくらいの所でした!」
「だからそれがどうしたんだ?」
するとレイニーも興奮した様子で、
「そうか!あまりにも色々ありすぎてすっかり忘れていました!」
「だから、何がだよ!」
苛立ちを隠せず安藤の声が大きくなる。
「バイクですよ!バイク!あの時バイクは乗り捨ててウォーレン達の車で移動したじゃないですか!?」
「!?そういえばそうだったな!」
「ということは、あの場所に五台のバイクは置きっぱなしですよ!これで、少なくとも五人はその洞窟に楽に移動できますし、ウォーレン達の車を取りに行く事も出来る。そこにも人数分のバイクがありますし、かなり移動が楽になる!」
「すっかり忘れていたわね。やっぱり皆疲れているのね。そうと分かれば、とりあえず比較的元気な五人でバイクを取りに向かいましょう!」
すでに友香は行く気十分だった。結局、そのバイクに乗っていた、早川と友香、それに安藤と真由の四人はバイクに乗って引換し、ロジャーが一人でバイクに乗って車を取りに行くことになった。
残った者は、この場に待機、一方で兵士たちは徒歩で洞窟まで移動することになった。




