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ひなた  作者: Hiro
なかむら
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9/28

Surviving the storm I'm gonna crush you

「あたしは求喰川で生まれたの。」

外にいる近藤は話をすべて聴いているが、全く理解できない。ひなたの態度の豹変ぶりに、驚いたのみだ。隣にいるけいは、同様に話を聴いているが特に感情は見えない。

「兎瓦。君は理解できるのか?」

近藤が聞いた。けいが答える。

「多分これからわかんなくなると思います。」

近藤はますますわからなくなった。

ひなたが話を続ける。

「オルカトリームがいない地域で育ったから、平和な環境で育ったわ。海と違って陸は全然、、、て、巫天様にこんなこと、、、知ってますよね?」

遠慮がちに、気味の悪い豹変ひなたが柚宇の顔色を窺った。

「いや!意外と住んでるオレンジ達のことは知らなかったりするんだ。そんな気を使うな。」

「は、はい。、、、えっと、なんか緊張するなあ、、、。」

「それが欲しかった。」

けいはだんだんイライラしてきた。

「だから、、、あたしはナンキョクシャチのことについても知らなかったし、求喰川全体のことを、何て言うんだろ、ほんとに大事に育ててもらったと思う。」

「ちなみに、お前の親っつうのは、、、」

「うん。ビンセイっていうトリーム、ご存知かしら?」

柚宇が驚いた。

「ああ、わかる!!!ザキがいる群れのジジイだろ!?」

「そう、ふふ。ビンセイが浜辺で泣いてるあたしを見つけて、とみたゆうか の所に連れて行ってくれたの。ごめんなさいね、みんなサトザクラって呼ぶけど、あたしは本名で呼びたい。」

「サトザクラの娘!?」

柚宇はたまげているが、近藤には何のことか分からない。タバコを吸い始めた。

「うん。そうです。父がお世話になっております。」

けいも驚いている。

「とみたゆうかは陸上で、あたしを育ててくれたの。」

近藤がけいに聞いた。

「誰だ?サトザクラって。」

けいが少し迷ってから、答えた。

「魔王。」

近藤は返事を待った。が、けいはすでに返事をしていた。

近藤はけいが魔王という単語を発したとは思わなかった。

「なるほど。だから、時代を跨げたのか。もういい、わかった。おれから聞きたいことは以上だ。けいと話すか?」

ひなたは頷いた。

「また、、、会えますか?阿修羅様。」

椅子から立ち上がり、柚宇は答えた。

「会えんじゃね?じゃあな。」

代わりにけいがひなたの前に座った。

「よ。」

「とんでもない女ね、あなた。自分のとんでもなさ、気づいてる?」

けいが、トボけた顔をして笑った。

「べつにわたしのことはどうでもいいんだけどよ?おめえは大変なことやっちゃったんだから。たくさんの人に迷惑かけたんだから。自分の状況わかってる?」

「『地球返し』の時代の人類に、何の情もない。」

ひなたは冷たい瞳を向けた。

「ひなた。牢屋から出て来ても、あんなこと二度とやっちゃダメだよ??」

「あんたにぶっ飛ばされるのが怖くて二度とできないわよ。」

「じゃあ、な。」


「ひなたはなんであんなことしたんだべ。」

帰り道、歩きながらけいは柚宇に聞いた。

「お前を試すためって言ってたんだろ?」

けいは納得いかない様子で、自分のマフラーを触った。

「うーん、、、違うな、きっと。」

「わかんないねえ、人間の考えてることは。」

けいは立ち止まると、柚宇を見上げた。

「ねえ、柚宇は宇都宮に遊びに来たりしないの?」

柚宇は予想をしていなかった質問に、思わず笑った。

「よく行ったよなあ、お前の実家に。カエルの姿で。」

けいは、首を振った。

「いや、、、ほんとに。」

柚宇は、目で伝えてくるけいをトボけた顔で見返した。


最低限の灯りの中で、ひなたは硬い床に座ったまま長い髪を下に垂らしている。

動きはほとんどないが、指をわずかに動かしている。

「まさか惑星、、、巫天が、、、びっくりしたあ。」

暗闇をひなたは捕まえるように、凝視した。

「とみたゆうか。来て。」

その夜、誰もが寝静まった時間帯、カラスが騒がしかった。

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