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なかむら
「ひなたが『地球返し』に行ったきり、帰って来ない?そうか、そいつは、、、」
イルカが水面で喋っている。愛らしい顔で口にくわえているのは、動物の内臓だ。
「せっかんが必要だな。」
そのバンドウイルカは、背ビレを水面に油を塗るような艶かしさで滑らせた。その部分だけ、皮膚に真っ黒い墨が塗りたくられている。会話している相手は、浮かぶ木片に降りた一羽のフクロウのようである。
フクロウは返事をしない。だが、イルカを目で追い、意思の疎通が成立している風だ。
ぱしゃ、とイルカは尾ビレで水を飛ばした。
大気に散った水は、集まりある形を形成した。
『鎌』である。大袈裟に刃の部分が長く弧を描く形だ。作られた水の鎌は、大気に浮いている。
キュウン
イルカが愛らしい声で鳴くと、その鎌は振り上がり水面の一箇所を刺した。
「おれらから『道具』を奪うんじゃねえよ、イシアガンども。」
イシアガンとは『人類』という意味であった。




