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ひなた  作者: Hiro
なかむら
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17/28

I see it COMING

けいの部屋で桂はベッドで寝ている。

けいが冷やしたタオルを寝ている桂のおでこに、乗せた。

暗くしてある寝室で、桂が呟いた。

「うお、今、目が覚めた。けいちゃんの部屋?」

けいが近くでいたわるように、返事をする。

「そう。」

くしゃ、と布団を顔の前まで巻き込んだ。そして、桂は力無い声で言った。

「ちくしょう。やっぱ敵わねえか、あたしじゃ。」

声に反応して、隣の部屋からちなつが心配そうに顔を覗かせた。

けいが言った。

「いや、いい線行ってたと思うよ?」

「ふふ、全然だよ、けいちゃん。もう少しでヤバかった。」

バン、と強い音を立てて玄関のドアが閉められ、足音が寝室目がけて響いた。

けいが顔を上げると、鬼神のような顔をして柚宇が立っている。

桂が寝たまま、挨拶をする。

「、、、おかえり。」

「おかえりじゃねえよ、馬鹿野郎。桂、身体起こせ。」

けいが制止する。

「柚宇!桂ちゃん、今起きたばっかだから!」

「そんなん知らねえよ、おい、桂、起きろ。」

黙って桂は身体を起こした。

「何だありゃ?」

「、、、。いや、さあ、、、あの三枝ひなたっていう女の顔見たら、感じたことないくらいのムカつきがさあ、、、わかるでしょ?」

「全然わからねえ。そして、お前は人の話を全く聞いてねえ馬鹿野郎だ。」

「柚宇!声おっきいよ!」

注意するけいに、柚宇は目も合わせない。桂に言葉を投げ続ける。

「おれの話を聞いていたか!?サトザクラに敵うはずがねえことは、もう何千年も、、、!」

桂が力無い声で、遮る。

「けいちゃんにはそんな風に言わないんだろうなあ。」

パン。

けいは手で自分の口を押さえた。柚宇が桂の顔を思いっきり平手打ちしたのだ。外見上はか弱そうな桂の身体が、大きくベッドで飛んだ。

「いたいな、何す」

「警察にはおれが!!!謝ってきた!明日も行くよ、おれ一人でな!お前連れてっても菓子食って、大丈夫♫大丈夫♫とか言って終わりだもんなあ!!!」

「ちょっと、柚宇、、、」

けいが止めようとするが、どうやら本当にブチ切れている。

「何が大丈夫だよ!???てめえ一人でウコンザクラに傷一つ付けることすらできねえよ!おい、反論あんなら聞いてやっから、言ってみろ!!!」

桂は目を潤ませている。

「、、、ふ。こわ。めっちゃ怒ってる。」

何が可笑しいのか笑い始めた桂に、柚宇がもう一度踏み込んで手を上げようとした。

けいが叫んだ。

「ちょっとやだよ!やめなよ!やめてよ!なんでそんなに怒ってんだべ!?桂ちゃん、一生懸命やってたじゃん!?」

冷めた目で柚宇が答える。

「一生懸命ケンカ売って、けいの街を滅茶苦茶にさせようとしてたよな!?サトザクラは逃げようとしてたんだぞ!?なんでそれを追ってまで、、、!」

桂が言った。

「けいの街、、、ふふふ、わらける。柚宇さん、笑けるよ。求喰川よりも、けいの街になっちゃったんだねえ、、、水素ぉ!」

桂は勢いよく立ち上がって、柚宇を真っ直ぐ見て告げた。

「自分の仕事放棄して、女とイチャついてるのはあんただろ!?クラゲ!!!」

柚宇は目が据わっている。

「また嫉妬。」

「は!?ヨウフに全部押し付けんのもいいけどさあ!たまには、、、」

桂の目には大粒の涙が浮かんでいる。

「求喰川に、、、帰ってきて、、、くれたって、、、」

意外なことを言い始める桂に、柚宇が戸惑い始めた。

「あ!?べつに求喰川にいたって、おれら一緒にいたりしねえだろ?」

泣きながら、桂が柚宇を押した。

「うっそー!ばっかー!は、大丈夫だよ、柚宇。もう調子に乗ってサトザクラにケンカ売ったりしないから。ごめんね、けいちゃん。見苦しいとこ見せて!」

なぜかもらい泣きしているけいの顔を見て、桂が高い声で笑った。

「サトザクラがどうすれば興味を失うか、あたしは経験でなんとなくわかってるから!根気が必要だけどね!明日からがんばるから。きゃはは。」

柚宇は少し安心したような顔を見せ、寝室を出た。けいが聞いた。

「どこ行くの?柚宇。」

玄関に向かいながら、柚宇が答えた。

「ああ。帰る。桂を泊まらしてやってくれ、悪いな、けい。」

けいが、返事を言う前に玄関のドアが閉まる音が響いた。

「なんだべ!!!!花男、桂ちゃん超がんばったのに!前から思ってたけど、どっか血も涙もねえってかよ!?女装趣味ばっかしてっくせに女の子に手上げるなんて男として完全に終わってっぺよ!!!」

桂はクス、と笑うとけいに抱きついた。

「ありがとう、けいちゃん。」

そう言うと、桂は震え始めた。

「、、、柚宇が、、、ぶった、、、う」

けいは震える背中を優しくさすってあげた。

ちなつは目をパチクリさせ、さっき大暴れしてたのと同一人物だよな、と確認した。

すすり泣く声ばかり響いていたので、ちなつは隣の部屋でテレビの音量を少し上げた。

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