第98話 やっとパパと対面
美少女!美少女だって!
ふえぇ〜、そんなこと言われても、困るぅ、うふふふふ。
いやいや!まだだ。
思春期特有のメタモルフォーゼはまだ起きていないのだ!甘く考えてはいけない!
元美少女のガッカリ女子なんて、星の数ほど存在するのだから。
油断はしない!……しない…けどぉ♪
前世含めて、まともな感性の人に美少女なんて言われたのは初めてなんだ。
ちょっとは浮かれてもバチは当たらないよね!
……って、それどころでは無かった。
夜の魔獣被害。
種類と数、それで対策が変わる。学院で習ったことだ。
「ママ、魔獣の種類はわかる?パパが起きるの待ったほうがいいかな?」
ママは、レナを抱きかかえながら、何かを思い出すように頭を傾げた。
「パパは確か、小さい猿っぽい魔獣って言ってたけど……。私はわからないから、後でパパが詳しく教えてくれると思うわ」
小さい猿っぽい魔獣。数が沢山……。
候補は幾つかある。
追い払うことができて、でも、子供を襲う。
大人から逃げるのなら、特徴に合うのは、デヴォアインプ。
見たことはないけど、学院では習った。
森の奥深くに生息するって習ったけど、人里まで降りてくるものなのか。
「今夜も、また来ちゃうんだよね?ならわたしも手伝うから、今のうちに少し眠るよ、ママ」
ママは少しだけビックリした顔をみせる。
「ルナもお姉さんになったんだね、頼もしいわ。でも無理はダメよ?」
前からお姉さんだったけどね。忘れられたけど。
「ロリアンさん、クラリッサ様に伝えてもらっていい?夕方頃からになると思うから、それまでロリアンさんも休んでてね」
軽快な返事を残してロリアンさんは、村長宅に向かった。私も少し寝ないとね、徹夜になりそうだから。
よし、堂々とパパの隣で寝るとしよう!
「ルナ、こっちの部屋空けたから、ここで寝なさい?静かでよく眠れるわ」
チィッ!バレたか……
仕方ない、ママに妨害されたら勝ち目は無いから大人しく一人で寝よう。まぁ、パパの隣だと寝れそうにないしね。
それにしても、猿の魔獣。
今までに、人の形をとった魔獣と向かいあったことはない。
斬れるのだろうか、わたしは。
そして、ちゃんと衝動に飲み込まれずにいれるのだろうか。
「なぅ〜」
枕元でアマテラスが鳴く。
不安を抱えながら眠りにおちた。
誰かが身体をペチペチと叩いてる。
アマテラスかな、お肉欲しいのかも……。
「るなねえたん、おきて〜。ぱぱ、おきた〜」
アマテラス、いつの間に喋れるようになったのよ……。お肉、鞄に入ってるよぉ……。
ん?ちがう?
目を開けると、今まさに宙を舞う幼女が、わたしの上に、ゆっくりと落ちてくる様子が見えた。
おおおお!危ない!主にわたしが!
咄嗟に手で受け止める。
危うく、幼女のダイビングニードロップを、お腹にくらうところだった。
「レナちゃん、飛び込んだら危ないから、やめようね」
レナちゃんは楽しかったのか、ケタケタと笑ってる。
「るなねえたん、ぱぱよんでゆよ」
おお!パパ起きたのね。呼びに来てくれたのかレナちゃんは。でも膝から飛び込むのはやめてね?最悪死ぬから。
「起こしに来てくれたのね、ありがとう、レナちゃん」
そのまま、レナちゃんを抱っこして部屋をでると、すぐ居間だ。
そこに懐かしい姿。
少し小さくなった?いや、私が大きくなったのか。
大好きな姿。ママのものであるのが悔しいけど、それでも好きなことは変わらない。
涙で姿が滲む。
「ただいま、パパ。会いたかった」
「おかえり、ルナ。大きくなったね、見違えたよ」
レナちゃんを抱えたまま、パパの胸に飛び込んだ。




