第96話 変化する家族
考えてみれば、最後に会ったのはルカが2歳と少しの時。あれから、3年ちょっとが立っている。
幼児期健忘は3歳半より前の記憶を忘れるというやつだから……
わたし、いないことにされてない?
手紙とか月イチで書いてたよ?!返事は年に一回くらいしかこなかったけど!!
まったく存在をリセットしたわけじゃないよ?
「いや、あのね、わたし、ルカの、お姉ちゃんの、ルナ、だよ?パパとママから、聞いて、ないかな?」
動揺して言葉が途切れる。
「パパもママも、レナの事しか言わないし。姉ちゃんいるとかしらない」
おいこら、パパ、ママ。
なんで伝えてないんだ。手紙と一緒に読み聞かせ用の作品も送ったのに。
その時に『お姉ちゃんが作ってくれたんだよ〜』とか言っておいてよ!
「パパとママに聞いてみてもらえるかな〜」
「知らない人とあまり話するなって言われてる」
うぐぅ……、知らない人……。
もう、わたしのHPもMPもゼロよ……。
「あら?ルナ、帰ってきたのね、おかえりなさい。帰ってくる前に知らせなさいよ」
ママァ!!
レナを抱っこして、いけしゃあしゃあと!!
相変わらず綺麗だなッ!
「ママ!ルカがわたしの事、忘れてるんだよ!ひどいよ!なんで話しててくれないの?!ただいま!」
ママは首を傾げてる。心当たりが無い的な……。
とぼけないでよ!!
「ルカ?いつも読み聞かせてる『仮面ソルジャーダブル』の作者のルナお姉ちゃんよ?」
その言い方ァ!!
それじゃあ、作者である『赤の他人の』ルナお姉ちゃんだよ!!ちゃんと、あなたのお姉ちゃんが作ったのよ、って言いなさいよぉ!
ルカの顔が明るく輝く。ま、眩しい!!
「ホント!お姉ちゃんがあれ作ったの!?すごい!ボク、かめんそるじゃーだぶるのゴリとロリの、ゴリが好きなんだ!あんなふうになるんだ!」
ああああ!そういう『すごい』じゃなくてぇ!
ちゃんと家族としての、『すごい』が欲しかったのにぃ…!
それと、ゴリに憧れるのやめて?それモデル、グラッドさんだから。せめてロリの方にして?モデルになった人がここにきてるから。
ゴリラにはならないで、マイ推し。
思ってたのとは違ったけど、人攫いの疑いは晴れたようだ。深刻なダメージを残して。
「ママ、そのレナちゃんが、新しい妹ね。元気そうでよかったよ。レナちゃん、はじめまして。お姉ちゃんのルナだよ〜」
ママがレナを降ろしてわたしの前に押しやる。
「おねーたん、るなたよ〜。あたち、れなたよ〜」
……やべえ、可愛いじゃないか。まさに美幼女。
ノーマンを置いてきて正解だった。
今2歳くらいかな。ということは、今日会ったことも忘れちゃうんだろうな。
心の中で血の涙を流すとしよう。
そういや、パパがでてこないな。
この時間だと狩り中?
「ねぇ、ママ?パパは仕事中?いつ帰ってくるかな?」
その言葉を聞いた途端に、ママの表情がくもる。
え?なにか、あったの?!
怪我とか……、それとも……。
「パパはね、今……」
緊張、視野が狭くなる、動悸がする。
「……寝てるわ」
起こせぇぇぇぇ!!
娘が3年ぶりに帰ってきたんやぞ!!




