第83話 貴族の恋バナ
「わたくし、中等部を終えてしばらくすると、17歳で隣国に嫁ぐ事になりますの」
天幕の中でガールズトークを繰り広げる中で放たれた、レイティシアちゃんの爆弾発言。
え?嫁ぐ?隣国?
レイティシアちゃんは確か今12歳よね?
早くね?
これくらいの年齢って、クラスの誰々くんが素敵〜とか、誰々先輩に憧れる〜とかっていう段階じゃないの?
「5歳の時には、お相手として顔を合わせてますのよ?」
まじかぁ〜!この世界そういう常識なんか……。
と言うことは、マリーちゃんも?
どこの馬の骨ともわからない下郎に、うちのマリーちゃんはあげないわよ!?
マリーちゃんの方を見ると、手をヒラヒラさせてる。
「私には、婚約者はいないわよ?……魔法のね、適性的に避けられがちなのよね」
魔法の適性的に?
やっぱり、あの系譜はそういうことなのか。
演習でみたあの魔法はたぶん、『土』とか『地』とか『石』とかなんだろう。
ひょっとしたら、適性にも人気、不人気があるのかもしれない。
「わたし、マリーはとっても素敵な女性だと思うのに……。見る目がない男が多いんですね」
マリーちゃんが少し恥じらうような仕草。
わたしが男だったら、間違いなく狙ってるね!
……平民男子と伯爵家令嬢……。無理そうだ。
「だから、レイティシア様にお仕えして、隣国までお供するつもりです!」
おお!マリーちゃんかっこいい!
ひょっとしたら、隣国で素敵な出会いがあるかもだしね!
「ルナはどうなの?素敵な殿方とはもう出会ったかしら?……あ!ダイア様に見初められていたわね!」
うぉいッ!あれは見初められたのではないよ、レイティシアちゃん!
あれは、面白い玩具を見つけた反応だ!
絶対に!女どころか、人間とも思ってない節があるしね!
「いえいえ!あんな不審し……あのような高貴な御方がわたしを相手にするなどありえませんよ。ちょっと、面白い子供がいた、くらいの感じですよぅ」
それにね。
「わたしも、マリーと一緒にレイティシア様に付き従いますからね!仲間外れは嫌ですよぅ!」
この二人とならどこだって行ってやる。
二人の為になるなら、刀だって振ってやるもんね!
微笑ましいものを見た!みたいな感じで二人が笑う。わたしからすれば、マリーちゃんやレイティシアちゃんの方が微笑ましいのよ。
トータルの年齢で半分以下だしね。
「なぅ〜」
アマテラスが何か言いたげに一鳴きする。
もぅ、アマテラス。お肉はもう食べたでしょう〜
と、思いつつも乾燥肉を渡す。
でも口をつける様子が無い。
すっと立ち上がると、わたし、マリーちゃん、レイティシアちゃんの順番に頬をペロっと舐めて、天幕の外に出ていった。
こんな感じで側を離れるなんて珍しい。
いつも、いつの間にかいなくなってるのに。
いつもは不穏な感じになるのに、今回は少しの寂しさが心を過った。




