第64話 ルナバリア?
リーンさんの部屋を出てから、急いで教室に走る。そう言えばあんまり走ることってないな。
前世は走るのは絶対拒否状態だったけど、今世のこの身体はよく動く。
ジョギングくらいしてみようかな?
スポーツウェアとかどこかに売ってないかな?
ないよね。そんなの。
ていうか、この世界で女性が短パンとかTシャツで外にいたら事案だ。
あっという間に連れ去られるか、保護されるかの二択だよね。
運動は素振りだけでいいや。
教室に着くと、わたしの姿を見つけたマリーちゃんが小さく手を振っている。
ついついニンマリしちゃう。いいね、美少女の笑顔は……。
ん…?何か変態剣士ノーマンみたいなこと言ってる気がする……。いかんいかん、自重しなくては!
「ルナ、あの猫ちゃん、どうなったの?」
はぁ…天使…。
「リーン先生に相談したら、飼い主らしき方が来られて、連れていかれました」
精霊様だったことは伏せておこう。
ダイアのことも。
「猫?猫がどうなさいましたの?」
う…、レイティシアちゃん、気になっちゃう?だよねぇ…。
「えーと、昨日、寮の前に猫がいてですね……」
とりあえず、しがみついて離れなかったから、連れてきちゃったっていうことで説明!
「……猫、ねぇ……」
あ、レイティシアちゃん、何か知ってそう。
お願い、もう何も言わないでくださいまし。
必死の念が通じたのか、レイティシアちゃんは何も言わなかった。
授業が始まる。なんてことはない、と思ったらなんてことあった。
この国の貴族とその関係について。
うっはー!これは前世知識チートが効かないやつ!
新しい情報!この世界の設定だよ!
あぁがるぅぅ!
……めっちゃ、多いな!
これ、少し整理した方が、財政的にいいんじゃなかろうか?全員にお金出てるんだよね?
教室の大半の生徒はポカーンってなってるよ?
しかも、婚姻関係が複雑すぎる!
貴族は皆、遠い親戚状態になってない?
魔法適性のせいかな?色覚特性は遺伝的要素あるっていうもんね。
たぶん系譜を整理すると、同じ魔法適性を持ってるグループを分けられちゃいそう。
ひょっとしたら、どこと婚姻関係結ぶのか、結べないのか、予想できちゃいそうだね!
クリストフの婚約者が浮き出てくるかもしれない。
ん!興味ない!
マリーちゃんとは、ずっ友でいたいから、シュライン家と婚姻関係になりそうなグループとは仲良くするように心掛けよう。
そんな感じでグループ分けに没頭してたら、あっという間に授業が終わった。
次の授業は……、『魔法演習/剣術』……。
もういいよ……、剣術は。
学院で剣振ってると、絶対なにかあるんだよ。あそこには入ってはいけない。禁足地だ、八幡の藪知らずだ。
「それじゃあ、ルナ、また授業後ね」
あぁ、マリーちゃんとレイティシアちゃんが魔法演習に行ってしまった。
またボッチだ、しょんぼりだ。
と、思ってたら、同じ剣術組の女の子達が側に寄ってきた。
んん?何?王女バリアが無くなると、また絡まれちゃうの?
「ルナちゃん……、剣術、一緒にいかない?」
ほぇ?
「ルナちゃん、凄いじゃん?レイティシア様と普通に会話してるし、あのデブをものともしないし」
デブ?あ、ポッチャリマンか!
「私達、平民出はどうしても肩身狭くて…。でも、ルナちゃんと一緒なら、安心なんだよ!お願い!剣術の授業、私達と一緒にいてくれないかな!」
ほわぁぁぁぁぁあ!
なんてことでしょう!頼られるなんてぇ!
前世でこんな経験なかったよ!
もう、リア充ってことでいいのかな?!
お友達沢山できそう♪みんな年上だけど!
「うん!一緒について行かせてもらいます!」
演習場にみんなでキャッキャしながら行こうと思ったら、みんな道を空けてしまった。
ん?なんで?
歩き始めると、後からゾロゾロと着いてくる。
ちょ、ちょっとぉぉ……
わたしが一番偉いみたいになっちゃってるよ?
みんなでワイワイしながら行こうよう!
振り向くと、みんな一様に顔を伏せる。
あれ?わたし、友達じゃなくて……
盾にされてるのかな?
泣いちゃうぞ?そんな扱いされると。




