第62話 猫ってどこにでも出没するよね!
ギャラリーとは言え所詮は猫だ。
何か致命的な巻き込み事故を起こしてくることはあるまい。ゴリラだと、素振りしてただけで骨折イベント発生するからね!(怒)
いつも通り真っ向斬りから始まる8つの素振りを繰り返す。んー、今日はキレが悪い。お茶会事件の後遺症かな?
何回か繰り返してると馴染んでくるかな。
「ルナ……、凄い音がなってるけど、どうなってるんだ?」
え?なに?
クリストフよ、凄い音なんてなってないよ。
木刀が風切ってるだけよ?
「振ってる音だけですよ?クリストフ様」
クリストフが少し心折れたみたいな顔してる。
仕方ない、フォローしてやろう。
「クリストフ様は木剣を片手で振ってますよね。私の振り方は両手で持つんです。そうすると、安定するし、振る速さも上がるんですよ」
こちらの正式な剣の振り方は知らんけどね。
「そうなのか!やってみる!」
素直なことよのぅ。そうそう、アドバイスをちゃんと受け取れる男子はモテるぞ、たぶん。
ほら、音が鳴るようになってきたじゃない。
「では、わたしは準備もありますので、お先に部屋に戻りますね」
嬉しそうに木剣を振るクリストフを置いて部屋に戻った。
やっぱりルーチンこなすと気持ちいいね、身体がポカポカ。今日もいい天気になりそう……って!!
あんた、何でそこにいるのよ!!
空を見ようと窓をみたら、窓縁に猫ちゃんが鎮座しておる!
「あ、危ないでしょ!?」
駆け寄って窓を開けると、当たり前とでも言うかのように部屋に入ってきた。
ベランダがあるわけじゃないし、ここ3階なんだけど、どうやってきたのよ!
猫はベッドの上に収まって、またじっと見てくる。
なによぅ。これから着替えるんだがら、そんなに見ないでよね!
もう……走馬灯がまわるぅ!
なんでだ?この猫、実は凄い凶悪な生物だったり?
制服を着終わると、今度は軽やかに身体に跳び乗ってくる。
ええええ……、肩にしがみついて寛いじゃってるよ……
仕方ない、このまま学院まで行って、リーンさんに預けよう。高位貴族のとこの子だったりして誘拐とか言われても困るしね。マリーちゃんに証人になってもらおう。
建物の入口でマリーちゃんと合流して学院へ。
あ、クリストフ置いてきちゃった。まぁいいか、緊急事態だ。
学院までの道中は、マリーちゃんが猫をあやしている。肩から離れようとしないので、やたら目立ってしょうがない。
このタイミングで、飼い主が登場しませんように……。
学院に着き、真っ直ぐリーンさんの執務室に行く。
扉を開けると、リーンさんの目がまん丸に見開かれた。
「リーン先生、この子、迷い猫だと思うんですけど、離れなくなっちゃって。とりあえず連れてきちゃいました……」
リーンさん、キャラ作りが混乱してる様子。
指先だけで、隣の部屋に入るように言ってる。
あはー、これはひょっとしてすげえお偉いさんの飼い猫だったりするのかな?
不敬罪、再び?やだよ?
リーンさんは部屋に入ると扉を閉じて座る。
床に、正座で。
え?何事?
「このような場所に、どのような御用でいらっしゃったのでしょうか、精霊様」
……精霊様?なにそれ?不穏。




