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第61話 猫と走馬灯ちゃん

抱くと暴れることなく観念したかのように大人しくなった。


「あなた、本当にいいとこの子だね。今頃飼い主さん心配してるんじゃないかな」


前世でいうところの、ロシアンブルーっぽい見た目。首に巻かれたリボンは絹のような光沢を持っている。


サイズ的にも顔つき的にも成猫なのだろうね。


「ルナ、私も少し撫でてもいいかしら?」


おお?マリーちゃん猫好き?

可愛いものには惹かれちゃうよねぇ


「顔はやめたほうがいいと思います。腰のあたりとかならいけると……」


マリーちゃんが恐る恐る腰を撫で始めると、気持ちよさそうに動き始める。


人馴れしてるね。囲まれてびっくりしてただけなのかな。

周りの子達にあまり急に構わなければ大丈夫だと思う、と告げて、猫を地面に降ろす。


猫ちゃん?じっと見ないで。なんか見えてるの?

ていうか猫の視線でも走馬灯回るんだな!

無理やり意識を引き剥がして自室に向かう。


しっかしこの世界にも猫飼うなんていう習慣があるんだね。まあ、クレオパトラは猫好きだったって言うし、ありえるのか。


絹のリボンまでつけてもらって、きっと飼い主はお貴族様だよね。教官の誰かかもしんない。


絹……、だったよね……。

レーヨンじゃなかったよね……。


だめだ!こういうことを考えるとフラグが立ってしまう!あの子とは一期一会!ちゃんと飼い主の元へお帰りなさいね。

わたしは自室に帰る!



自室に入ると、グラナド家の使用人さん達によって運び込まれた木箱が部屋の真中に鎮座しておる。


木箱を開けてみると、中身は予想通り、禁書(クラリッサ様の黒歴史)だ。

許可は出ているので遠慮なく読ませて貰おう。


…………。


すげぇ。

クラリッサ様、何者?


中身は所謂、散文詩だ。

本に付けられたタイトル、愛編なら愛に関することが綴られている。


圧倒的な表現力。

なんで、手の動きとか、髪を書き上げる仕草、髪の流れ、目蓋の動き、それらに伴う比喩で、ここまで感情を誤解なく表現できるのか……。


これは公開すべきものでは?クラリッサ様!!


この調子だと、憎編とか、戦編とか、怖すぎるんですけれども!!


文章が美しいだけじゃなくて、微妙に崩してるあたり、読まれることも前提にしてたんじゃないのかな?!

これ読んで勉強とか、無理無理。打ちのめされてるよ!


ぬぉぉ……。

といいつつも、この世界で初めての他人の書いた創作物。読んでて凄く楽しい!


読書の夜は更けていく……




朝。

いつものルーチンで、兼定持って素振りへ。

王宮では出来なかったからね。


外にでると、先客がいた。

およ?初めてじゃないのかね。どうしたクリストフ。


「僕も今朝から、素振り始めるからな!付き合え!」


おお!!やる気出してるじゃないか!

ハッパかけた甲斐があるというものだ。


そしてギャラリーはもう一人。

いや、もう一匹。


昨日の猫ちゃん。行儀よくお座りしてるけど、ここで一晩過ごしたんじゃないよね?


早くお帰り?


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