第60話 学院通いと迷い猫
翌日、グラナド邸から学院へ。
馬車の中で、クリストフからの追及がウザイ。
何で中等部なのか、なぜ王女様に気に入られたのか、お茶会で何があったのか、エトセトラ。
拘束系男子は、今どき流行らないぞ?
女の子に嫌われるよ?
この年で嫌われたら、ボッチ確定だよ?
「クリストフ様、そんなことより、次の試験で中等部に上がって来てくださいね?そしたら、一緒にいれますから」
とりあえず心にもないこと言って、勉学に集中させよう。これも従者の勤めだ。
「お、おぅ……。頑張る……」
望み薄いかな?
学院に着くと、クリストフは初等部へ。わたしは中等部へ。
教室の扉を開けた途端に、マリーちゃんが飛び付いてきた。
うぉう!何?!
「ルナ!!貴方のおかげよ!」
あ、侍女になる話か!そう言えば成り行きでマリーちゃんを引き合いに出したんだった。そして、それがそのまま決定事項になったんだったね!
「ま、マリー様、淑女らしくないですよぅ。巻き込んだ形になってしまいましたけど、よかったですか?」
一応ね。事後になっちゃうけど、確認はしておかねば。
「もちろんよ!ふふふ、ルナの思惑通りになった?」
もぅ、可愛いな!マリーちゃんは。
「ええ、マリー様に相談して良かったです♪」
2人でキャッキャ言いながら席に着く。
たぁのしいいいい!
友達、サイコー!
「うふふ、2人とも、よろしくね」
うぉう!背後からマイボス、レイティシアちゃん。
マリーちゃんが優雅に挨拶してる。さすが、ジュード・ロウの娘なだけあって気品漂うね!
「レイティシアさま、今後ともよろしくお願いいたします」
侍女ルートなのだ。もう苦手だからと避けてばかりではいられない。ここが一番安全な場所なのだ。たぶん……。
その日の授業は淡々と進む。
レイティシアちゃんのおかげか、ちょっかいかけられることもない。
平凡な日々、いいね!
授業が終わり、レイティシアちゃんは護衛を引き連れて王宮へ。
わたしとマリーちゃんは寮へともどる。
クリストフは先に帰った。初等部だしね。
寮の近くに女子生徒が何人か集まっているのが見える。
首を傾げるマリーちゃん。カワユス。
「何かしらね?」
覗きこむと、そこには一匹の猫がいた。
何か警戒してる。そらそうか、こんなに大勢に囲まれたらね。
不意に、走馬灯が警戒アラートを鳴らす。
止まる女子生徒
引き伸ばされる音
猫が地面を蹴る
舞う砂埃
向かってくる
なるほど、一際小さいわたしのところが、隙間だと思ったのか。でも、爪はやめて?
引っ掻かれると痛いのよ?
顔を登られる前に横に避ける。
飛びつく先を失った猫が、宙を掻く。
よいしょっと。
横から胴体に手を回して、抱える様にダッコする。
よく見れば、綺麗な毛並み。
首には可愛らしいリボンが着けられている。
「あなた、どこからきたの?」




