第52話 まだだ!まだ終わらんよ!
やあ!日本のみんな、ルナだよ!
わたしは今、ローゼリアの王都にいるよ!
一つ忠告しよう。
トラックに跳ねられても、転生するもんじゃないよ!
チートなんて役にたたないし、危険もいっぱい!
魔獣もいるし、街中にはゴリラが闊歩してるからね!
何より一番の危険は……
お貴族様の事情に巻き込まれることなんだよねぇ……
うん、誰も聞いていないモノローグ。
現実逃避、わかってる。
軽快な足音とともにドアを開けてさっていくダイア・セイクム。ドアの閉まる音とともに、レイティシアちゃんが大きくため息をついた。
ちゃんと、音たてられるんじゃないのよ!
「あ、あの、レイティシア様。ありがとうございます?」
うん、感謝していいのか、どうかわかんないマインド。
「気にしなくてもいいのよ、それだけの功績を上げているのだから」
あ、そっちじゃなくてね、ダイアを追い払ってくれたこと、ね。
それと服がほしい。おトイレにもいけないのよ。今はまだ平気だけど、着実にヤツが近づいてきているから。
「ルナはまだ幼いから、学院の中等部卒業と同時に騎士爵を叙爵することになると思うわ。その後、私付きの従者になって、成人のタイミングで女男爵にって、感じかしらね」
本人差し置いて、ルートが決められてる!
前世の時は、そういう一本道ルートゲーム流行らないってきいたよ?最近はオープンワールドタイプが人気だよ?わたしのルートはわたしに決めさせて?
いや、ゲームじゃないんだけど。
それよりも……
「レイティシア様、わたし、服、どうしたらいいでしょうか……」
ヤツの気配を感じる……。そんなに時間はなさそうだ。
レイティシアちゃんがパンッと両手を合わせて、微笑みながらいう。
「ああ!そうだったわね!叙爵の時の服装は、グラナド家でも用意するって言いそうだけど、私が用意するわね!助けてくれたお礼だもの!」
いや!そうじゃなくて!
今着る服のこと!!
「あの、その…、わたし、今、パンツしか着けてなくて、外にでられないんです……」
言わせんな!恥ずかしい。
「?……私は気にしないわ?」
わたしが気にすんの!!察してよ!
ぬぬぬぬぬ!来るな……来るな……『尿意』!!
「しばらくそのまま、休んでていいのよ、ルナ。あなたはそれだけの事を成してくれたのよ」
わたしが何をやらかしたというのですか!!
ここで放尿せよと!?
乙女の尊厳が!尊厳死してしまう!!
ドアをノックする音……
「失礼します……。ルナ様の学院の正装をお持ちしました……」
神の助け!!天の恵み!!仏の慈悲じゃあああああ!
まだだ!まだ終わらんよ!!




