第37話 お約束のイベント
算術の授業。
これやっぱり、あれだ。
算術と言いながら、やっているのは、いかに正確に話したことを聞き取って書き取れるか、っていう訓練でもあるんだな。
なぜなら、まったく同じ計算が、たまに出てくるんだから。
大半の問題は簡単。暗算でできちゃうくらい。
消費税環境下で生きてきた人間をナメてはいけない。
ただ、たまに意地悪な問題も出題される。
さすがに三桁同士のかけ算は、わたし、暗算できないよ。筆算使わないと。
周りも出題を聞いた途端に、え?っていう顔になってる。
問題が全てだされ、みんな一斉に解き始める。
わたしも悩んでる風で、問題を解く。
教官の視線をビンビンに感じる。
何?カンニングはしてないよ?
「はい、そこまで。では、1人1問ずつ問題と答えを読み上げてもらいます」
あ、これ。嫌な予感……。
1人ずつ読み上げていく。
この順番だと……、やっぱり…、計られた…。
「はい、では次、ルナさん」
クッ!ころせ!……まさにそんな気分。
「157✕329=………わかりま……」
瞬間、女性教官の目力が増す。
『嘘をつくな』
そう言っているのが、マジマジと伝わってくる。
「51,653……です」
あ!今、ニヤってしたよね!見えてるよ!
何だ、何が目的なのよ!
クソーッ!新作で、ドロドロの5角関係劇をしてやる!
そんなこんなで算術(?)の授業が終わった。
教官が教室をでると、すぐにクラスの子がやってきた。自分よりも優秀かと聞いていた子だ。
「あなた、すごいわね。計算具も使わないであんな問題とけるのね」
計算具?なにそれ。算盤みたいな?
「あ、えっと……紙に書いてなんとか……」
筆算を書き記したところを見せた。
もう、仕方ない。なんかそれっぽいことを言おう。
「実家が、狩りで生計建ててるの、獲物とお金の計算で、こんな感じでやらされてて……」
マジマジと筆算を見られる。
「……今度、教えて。私は、マリアンヌ・シュライン、よろしくね」
おお、家名持ち!お貴族様かな?
「あ、はい。マリアンヌ様。よろしくお願いします…」
マリアンヌ様はニコッと笑う。
あ、かわいい。
「マリーでいいわよ、ルナ」
うぉぉぉぉ!ボッチ卒業の気配!!
愛称で呼ぶなんて、もう友達ってことでいいかな!
「おぅ、お前!頭いいな!顔も良いから、俺の仲間にしてやるよ」
ん?変な野郎がきたな。
今、友達ができるかどうかの瀬戸際なんだ。
どっかいけ、蛙も虫もいらんぞ。
「俺は侯爵家だからな!父様に言えば大概のことはできるからな!言う事を聞いておいた方がいいぞ!」
あぁ〜、こういうイベント、お約束だよねぇ……
リーンさんはこれが言いたかったのかぁ〜
さて、どうしてくれようか……




