第128話 侍女の仲間たち
わたし、ルナアスカ、11歳と9ヶ月。
レイティシアちゃんの護衛騎士という名の侍女になって、約1年が過ぎた。
ちなみにこの世界の一年は、転生前よりも少し長い。
1年は416日なのだ。一カ月が32日で13か月で1年。常時走馬灯だから、長いって気がしてなかったんだよね。
少しずつ季節とはズレていくようで、89年毎に410日になる年がある。
経験したことは多分ない。
10歳の時、成長期早いなって思ったけど、実際のところは早すぎってことでも無かったらしい。
そして今のわたしは、思春期のメタモルフォーゼ真っ只中だ。今のところは……普通、だと思う。背もまた伸びたし、胸も。顔は、比較対象がこの二人だと、よくわかんないのだよ。
「マリー、今日の午後は予定入っていたかしら?」
「レイティシア様、午後は婚儀のドレスの試着ですよ?ですから、昼食は軽めに用意いたします。その後は陛下と会食ですよ。予定いっぱいです」
めっちゃ美人なんだよなぁ〜。
なのに、親しい関係だけの時は表情がよく動くから、反則的に可愛らしい。
うん、いや、競うつもりはない。
目の保養になって、大変よろしい。よきにはからえ。
「ルナアスカさん、今は私がいますから、先に昼食をたべてらっしゃいな?」
こう声をかけてきたのは、もう一人の侍女、タルシェンさん。心の中ではタルおばちゃまって呼んでる。ほんわかして優しいけど、とても優秀。わたし達の先生だ。
といっても、マリーちゃんは早々に卒業したけど。
レイティシアちゃんの輿入れには、わたしと、マリーちゃんと、タルおばちゃまが同行することは決まっている。
「わかりました、タルさん。レイティシア様、少しだけ外しますね」
レイティシアちゃんが、書きかけの手紙から目を離してこちらを向く。
不満そうな顔をわざと作ってる。
「えぇ〜、ルナ、一緒に食べましょうよ〜」
我儘娘め、可愛いじゃないか。
「宮中でも、護衛はしなきゃいけませんからね。シーナさんが配属されたら、交代で一緒に食べれますよ。それまで我慢です〜」
シーナさんは、タカラジェンヌ、女性近衛の一人だ。なんと近衛を辞め、レイティシアちゃん付きの護衛騎士になることを希望したのだ。
最近、その希望が通ったと連絡があった。
あと数週間もすれば、ここに来ることになっている。
「むぅ〜、ルナが美味しそうに食べるの見るのが好きなのに……」
ん?わたしそんな食いしん坊キャラなん?
恥ずかしいから、見ないで?尊い。
「じゃあ、ササッと行ってきます。タルさん、少しの間、お願いしますね」
食堂に向かおうとしたところで、マリーちゃんが手を挙げて、わたしを見た。
「ルナ、今日はこの後、予定が詰まってるから、前みたいに囲まれないようにね」
突き出される拳、わたしも突き出す。
当たる距離ではないけど、まあ、お約束みたいなもんだ。
「うん、わかったわ、マリー。気をつけるよ」
そう、なんだか最近、食堂とか廊下とかで、声かけられるんだよね。男女問わず。
前に10人くらいに囲まれて、マリーちゃんに助けてもらったことがある。
なんだろなぁ…。お茶とか散歩とかお話とか言われたような気がするけど、走馬灯回っちゃって、よくわかんなくなったんだよね。
なるべく目に入らないように行こう。
スネークだ!
はいっ!集中ッ!




