表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/134

第122話 走馬灯、悪化

叙爵の式典が終わると、隣の広間でちょっとしたパーティーだ。といっても、どちらかと言うと挨拶回りに近い。


そして、ナンパ。


いや、わかるよ?夜にはダンスパーティーなのだから。決まった相手がいないなら、パートナーを探さなきゃいけないんだから。

でも、前世女子高生感覚だと、チャラ男のナンパにしか見えない。


そして、わたしは壁の花。

遠巻きに観察はされているのだけど、誰も話しかけに来ない。

夜会は15歳からしか出れないのだけど、建国記念のパーティーだけは別。

だから、子供だから避けられてるわけではない。


服装だよねぇ。


男性からすると、近衛礼装の相手と踊るのか?ってなるし、女性からすると、女と踊るのかってなる。


ちなみに学院生はでることはできないから、クリストフもいない。


なので、シュライン伯爵やグラナド伯爵あたりに挨拶した後は、ポツンと果実水を傾けるボッチの出来上がり。

マリーちゃんは、レイティシアちゃんと一緒に下がっちゃったしね。わたしも行きたかったけど、叙爵者への祝いを兼ねるという名目上、わたしはここにいなきゃいけないらしい。


叙爵式にいなかった貴族子女達は、わたしを指差して、あれは誰なのかと聞き回ってる。

指差すのはやめようね?

今日叙爵された、ヒノモト卿だと言う声。

その周囲の子供達の興味がわたしに向けられていく。


回る走馬灯。

音が音でなくなる。

耳鳴り、動きを停める人々。

嫌な汗が滲む。

そして、視界に入るノイズ。最近、よく起きてる。特に人の注目を浴びると、顕著に表れる。



気持ち悪い、息が苦しい、誰か……


「動くな。命が惜しくば……」


背中に何かが突きつけられてる。

危険はない、むしろ…


「ふわぁ…、ありがと、マリー。助かったよ」


ノイズが晴れる。走馬灯がゆるやかに収まっていった。


「もぅ、何でわかっちゃうかな、少しも焦らないんだから……。素敵よ、ルナ。近衛礼装、ビックリしたでしょ?」


イタズラ失敗!みたいな顔してる。可愛いなぁ、マリーちゃんは。おかげで助かったよ、息ができる。


「わたしだけじゃなくて、クラリッサ様もビックリしてたよ?なんで近衛?!って」


マリーちゃんは当然知ってたんだろう。レイティシアちゃんが刺繍入れるところも見てただろうしね。


「そうでしょう?陛下にお茶会の話を報告したら、とても感心されてたのよ?それで、侍女って肩書だけじゃ勿体ないって。ふふっ!本当は帯剣できるドレスって決まってたのよ。それが急遽変更になって、担当の方が大変そうだったわ!」


帯剣できるドレス?!

そっちの方が可愛くない?そっち着たかったなぁ……。コルセット、つけないよね?


「それで?騎士様は、淑女たる私に何か言うべきことがあるのではなくて?」


言うべきこと?

……なるほど。でも、それシュライン伯爵に怒られない?

得意そうな顔、そして少しのイタズラ顔。

乗っかってやろうじゃないの。


騎士の礼とともに、わたしは口上を述べる。


「マリアンヌ・シュライン様、わたしはレイティシア殿下の護衛騎士、ルナアスカ・ヒノモトと申します。今宵の夜会、もし叶いますれば、わたしにエスコートする栄誉をいただけないでしょうか」


得意気な表情を保ったまま、マリーちゃんが返す。


「あら、話題の方からお誘いいただくなんて、嬉しいこともあるものね。私、ちょうど相手がいなくて困ってましたのよ。エスコートしていただけるかしら?ヒノモト卿」


演技ぶって差し出される手。

仰々しくその手をとって、指先にキスをする。


「光栄です。マリアンヌ嬢」


周りの女子から、黄色い悲鳴があがる。

好きでしょうね、こういうの。変な噂流れたらごめんね、シュライン伯爵。


わたし達は、笑いが堪えられなくなって、噴き出した。


走馬灯がちょっと狂い始めたけど、マリーちゃんが元に戻してくれそうだ。


さすがマブ。わたしの大親友だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ