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第114話 残りの要件

「では、ルナアスカ・ヒノモト。これからは正式な場では、そう名乗るように。親しきもの達の間でこれまで通り『ルナ』であることは構わない」


うん、それなら何も問題ないや。

レイティシアちゃんが手で口元隠しながら、フルフルと、身体震わせてる。

この我儘さんめ、後であやしてあげよう。


「では続けるぞ?3つ目の要件は、この改名にも関連する」


改名に関連?何さ、名札でも作るの?


「今、この国に、レイティシアの婚約者である、ベルカイトのエルディーン王子と、その妹、ミラナリア王女が、滞在している。

レイティシアの輿入れに同行する側近として、二人と、それから彼らの側近達と顔合わせをしてもらう」


あぁ〜、マクスさん、大正解。

多分、ミラちゃんはオマケなんだろうけど。

マリーちゃんの方を見ると、微かにハンドサイン。


……私は、もう、顔合わせ、済ませてる……


なるほど、私は卒業後にすぐ王都を離れちゃったから機会を逃してたのか。


「わかりました。そこで、ルナアスカと名乗らないといけないわけですね」


王様は深く頷く。


「その通り。もう彼らの滞在期間が短くてな、叙爵の準備と合わせて、召喚令状という形を取らせてもらった。この後、午後に茶会として予定している。その服で構わないから、使いの者が来たら、庭園に行くように」


剣士服で?まぁ、王宮に来れるくらいの代物では、あるけどお茶会にこれでいいのかな?

あ、私はレイティシアちゃんのお付の者、護衛という立場だからいいのか。


でも、ミラちゃんがいるってことは……、居るんだよね、あいつも。

できることなら、会いたくない。なんか怖い。あいつも、あいつに会った時の自分も。

なるべく、おとなしく、無難に、心安らかにいよう。メンタルおばあちゃんモードで。


これで要件は三つか。あと一つは?


「うむ、よいかな?では最後の要件だが、お前は……」


「これは、私から!!はいっ!はいっ!」


うおっ!今まで空気だった、王妃様が突然のアピール。手を挙げて、まるで授業参観のときの子供だよ。

はい、王妃様どうぞ。


「あなた、精霊様、コゼッティアに懐かれているのよね!?あなたには何が起きた?どんな事があった?聞かせて欲しいの!それが四つ目の要件!」


精霊様…ん?コゼッティア?そんな子知らない……、って王妃様が付けた名前か!また可愛らしい名前つけてもらってたんだね、アマテラス。

それに、王妃様の勢いよ。

まあ、わかる。だって大吉だもんね、わたしもだから。猫トークしたいよねぇ。


「ついてきてないのかしら、あの子…」


王妃様、ずっとソワソワしてたのはそれなのか、探してたんだね。


「たぶん、いるんじゃないかと……。すいません、控え室にいるディアさんから、わたしのマントを受け取って、持ってきていただけますか?」


側に控えていた人に、わたしのマントを持ってきてもらう。

たぶん、アマテラスのことだから、出てくると思うんだよね。少なくとも、この辺にいるはず。


持ってきてもらったマントを受け取る、当然、アマテラスが包まっているわけではない。

軽くマントを振って羽織ると、フードを整えて、大きく呼吸をする。まだフードは軽いけど…、うん、走馬灯が早まった。フードの重みが増す。


「出ておいで、アマテラス。王妃様が会いたいって」


「な〜?」


やっぱりフードから出てきた。ホントに神出鬼没だね、おまえは。


「き……きゃあああ!なに?!そんなとこから出てくるの?!コゼッティア!もぅ!可愛すぎるぅ!え?今、アマテラスって言ったわよね?あああ……、いい名前だわ……コゼッティア、いいお名前貰ったわねぇ、よかったねぇ……」


え〜と、王妃様が重度の猫好き、ということはわかった。末期と言ってもいい。


王様も、レイティシアちゃんも、なんか恥ずかしそうだ。うん、そうだよね、今、床に這いつくばって、アマテラスと、そうなのぉ〜、そうなのぉ〜って話してるし。


「あの〜、要件はもう終わりってことでいいですか?この後お茶会……ですよね?」


王様が顔を隠すように頷いた。

うん、頑張れ、ナーキアル。


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