第170章 ― エクスカリバー
「この作品は純粋なフィクションであり、いかなる論争を引き起こしたり、人々の考えを変えたりすることを意図したものではありません。作品に描かれている出来事は、著者の見解を反映するものではありません。物語の一貫性を高めるために、一部の歴史的および神話的な出来事は改変または変更されています。この作品は、古代の出来事に関する歴史的または宗教的な言及を意図したものではありません。」
トゥーラの王は立ち去ろうとした。だが、何かがおかしかった……女神が立っていた場所に、何かが残っていた。
「光……だったのか?」彼は思った。
テスカトリポカは振り返った。
彼の疑念は正しかった。
そこには、アンナが立っていたまさにその場所に、黄金の装飾布で飾られた巨大な白い剣があった。剣は太陽のように輝き、彼が創り出した次元の広大な闇を照らしていた。黒い羽根が、その刃の周囲を調和するように舞っていた。
「彼女は……テオトナリになったのか?」トルテカの神は呟き、近づいた。
剣は地面にしっかりと突き刺さっていた。柄は金色で、黒い帯が巻かれていた。鍔には島々、木々、そして黄金の林檎の彫刻が施されていた。刃は天体のように輝き、その周囲には淡く光る蝶が舞っているように見えた。
彼自身の領域の息苦しい虚無の中でさえ、その武器は光を放っていた。
「この娘を殺した褒美として、これは僕がいただくとしよう」彼は呟いた。
彼は柄を掴んだ。
灼けつくような痛みが、その手を貫いた。
彼は即座に手を離した。
顔をしかめ、彼は手を闇のエネルギーで覆い、再び試した。だが剣は一ミリたりとも動かなかった。あまりにも深く突き刺さっており、神でさえ引き抜くことはできなかった。彼の掌を守っていた闇のエネルギーは蒸発し始め、彼は再び手を引かざるを得なかった。
「ふん。僕には不要だ」彼は吐き捨てるように言った。「任務に戻るとしよう」
彼は背を向けた――。
その時、声が聞こえた。
「アンナ……アンナ……」
それは老いた男の声だった。ミルディンの声だった。
「ついに、おぬしの内に眠る聖剣を目覚めさせたのじゃな」
黒い羽根が集まり、人の身体の形を作っていった。
刃の背後から、アンナが現れた。
彼女は裸だった。傷はまだ残っていた。だが、もはや痛みを感じているようには見えなかった。その存在感は幽霊のようだった。目は閉じたままで、顔には悲しみが残っていた。
「この剣は、ずっとアンナの中にあったの?」彼女は静かに尋ねた。
「おぬしがわしと修行していた時、わしには分かっておった。この剣を振るうに値するのは、おぬしだけだとな」ミルディンの声が答えた。「わしは、おぬしの身体を無形にする能力を利用し、魔法によって刃をおぬしの内に宿した。その神聖なエネルギーはおぬしの血管を流れ、神聖属性への耐性を育てていた。身体が順応するには時間が必要だった。だから、おぬしは弱っているように感じていたのじゃ」
「アンナは……ふさわしいの?」アンナが尋ねた。
「柄を取れ。剣はおぬしを受け入れる。行け、アンナ。アヴァロンの聖剣の歴史に、新たな一頁を刻むのじゃ」
アンナは左手で柄を握った。
そして、まるで何の重さもないかのように、それを引き抜いた。
光の柱が噴き上がり、テスカトリポカは目を庇らざるを得なかった。
彼女のトーテマが身体へ戻った。だが、それは変貌していた。かつて暗い紫だった鎧は、今や金と青の差し色を帯びて輝いていた。光と影が調和していた。
「この剣はアーサー王のもの。アヴァロンで鍛えられ、最高位の神聖エネルギーによって祝福された剣じゃ。これを振るう者は、決して夜を恐れぬ。アンナよ、おぬしは今、カレトヴルッフ……エクスカリバーの主となった」
「感じるよ」彼女は囁いた。「剣がアンナの名前を呼んでる……それに、身体が軽い」
「おぬしはエクスカリバーを己の血から解き放った。そのエネルギーは、もはやおぬしを蝕まぬ。おぬしは強くなった。速くなった。神聖属性への弱点を克服したのじゃ。おぬしは生まれ変わった」
テスカトリポカは構えを下ろし、彼女を見た。
「どうやって死を逃れたのかは知らぬ。だが今度こそ、お前をミクトランへ送ってやる」
彼は黒曜石の鏡を掲げた。
煙が集まるよりも早く――
アンナが動いた。
あり得ない速度で、彼女はエクスカリバーを振るい、鏡を斬りつけ、形成されつつあった煙を散らした。神器は砕けなかった。だが、その表面には深い亀裂が走った。
「見えなかった……ただの武器が、どうしてこれほどの力を与える?」彼は信じられない様子で呟いた。
彼は突進した。
アンナは後ろへ跳んだ――そして空中で二段跳びを行い、方向を変え、その胸に深い裂傷を刻んだ。彼は二歩よろめいた。アンナは優雅に着地した。
テスカトリポカは笑い始めた。
顔から手を下ろした時、その表情は変わっていた。
狂気。
目は血走り、唇から唾液が垂れていた。姿勢は前屈みに歪んでいた。
「汚らわしい雌犬め――我がもう一つの顔を引きずり出したな!」彼は叫んだ。「お前を殺し、その脆い身体を満足するまで痛めつけてやる!」
彼の目が真紅に光った。
「ネコック・ヤオトル(Necoc Yaotl)(両側の敵)!」
アンナの背後に影の分身が現れ、彼女の頬を斬り裂いた。アンナは跳躍して避けた。空中で本物のテスカトリポカが襲いかかったが、彼女はエクスカリバーで彼を下方へ弾き落とした。
降下する彼女へ、影の分身がさらに攻撃を仕掛けた。アンナはその頭と胸に足を置き、そこを踏み台にして上へ跳ね上がると、美しい弧を描く一撃で分身を真っ二つにした。
だが、テスカトリポカはすでに鏡に煙を集めていた。
「死ね! 死ね!」
灼熱の蒸気が間欠泉のように噴き上がった。
アンナは舞い落ちる羽根の中を前方へ飛び込み、煙を斬り裂きながら、エクスカリバーを彼の身体へ突き刺した。傷口からまばゆい白い光の線が噴き出し、黒曜石の鏡を二つに割った。
それでも彼は笑っていた。
漂う黒い羽根の中から、もう一人のアンナが現れた。グラムを握っていた。
その影のような写し身は、同じ傷へグラムを突き刺し、反対方向から斬り抜いた。闇の光の一閃が、神聖な斬撃と交差した。
二つの斬撃はXを描いた。光と影が絡み合った。
写し身は消え、アンナは囁いた。
「スガイレ・アグス・ソラス・Xクロス(Sgàile agus solas X-chros)(光と影のX字交差)」
Xが爆発した。
テスカトリポカは後方へ吹き飛ばされ、巨大な傷口から血が噴き出した。
「神聖と影を組み合わせた……両方を操る者など、見たことがない」彼は思いながら、動けないオルニスケムの身体の前へ激突した。
アンナはエクスカリバーを構えたまま、ゆっくりと歩み寄った。その表情は読めなかった。
「僕は彼女を侮っていた……アナトは何も警告しなかった……こいつらは反神性結界の中で動く術など知らないはずだ……」
彼は傷口に触れた。
治らなかった。
「光と影の融合か? だから僕の身体は回復できないのか?」
彼は真実を悟った。
治療しなければ、自分は死ぬ。
アンナは彼の前に立ち、喉元へ刃を向けた。
「どうしてロドリゴを知ってるの? どうしてアナトは彼の死を命じたの?」
「敗北は認めよう」彼は静かに言った。「だが、命まで差し出すつもりはない。この決着は、また別の日につける」
彼は掌を開いた。
闇の煙が彼を包み込み、彼は唱えた。
「ヨワリ・エヘカトル(Yohualli Ehecatl)(夜の風)」
アンナは煙を吸わないよう顔を覆った。
煙が晴れた時――
彼は消えていた。
闇の次元はガラスのように砕け散った。
タルテイレイの灰色の空が戻った。
アンナは力を使い果たし、倒れ込んだ。
左手に握られていたエクスカリバーは、光の球体へと溶け、彼女の身体の中へ戻っていった。
そして、彼女は意識を失った。
カレトヴルッフは、ウェールズの伝説に登場する剣エクスカリバーの名前である。
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