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履きなれない靴で走り出したから、足がもつれて転んでしまった。
そもそもアオイのほうが足が速いんだから、走ったところですぐに追いつかれてしまっただろうけど…。
「………いてて」
「める!!大丈夫?」
そこへ、追いかけてきたアオイが駆け寄ってくれた。
「大丈夫。ちょっと擦りむいただけだから…わ!ちょっと」
地面にしゃがんでいた私をアオイはお姫様抱っこで抱え上げてしまった。
駅からは離れた住宅街だけど、ちょっと恥ずかしい。
「ぁ、アオイくん!歩けるからおろしてっ」
「…駄目。また逃げようとするから」
前科者を咎めるようにアオイは私の事をはなしてくれそうになかった。
近くの公園まで来ると、蛇口の水道の水で擦りむいて血がでてしまった部分を洗って、アオイが持っていたタオルで拭ってくれた。
「ありがとう」
その間も私は、アオイのヒザに腰掛けていて、その腕の中から解放してもらえないでいる。
「あの、もう大丈夫だから」
「わー!お姉ちゃんとお兄ちゃんがイチャイチャしてるー」
公園にいた子供達が、私達を見てからかってきた。
「ほら!アオイくん、めっちゃ注目されてるからっ」
「で?逃げた理由…なに?」
私の事を離してくれたけど、アオイは少し怒っているみたいだ。
「カッコいいアオイくんを見慣れないだけ、です。すいません」
「俺に慣れるために、もう1日俺の家にでも泊まってく?」
「ムリムリムリ!!」
私は、アオイからの提案を全力で断った。また、アオイの家に泊まるなんて心臓止まっちゃうよ。
「じゃ、俺はどうしたらいい?めるに眼鏡を選んでもらえなくて、めるの洋服を選ぶデートにも行けなくて」
「わ、ごめんなさい…」
なんだか、そこまで言われたら自分が悪いような気がしてきてしまって謝った。
「お兄ちゃん、フラれちゃったの?」
「うん。そうみたい」
いきなりアオイは、幼稚園の女の子と話し始めてしまった。
「でも、諦められなくて、仲直りするためには、どうしたらいいと思う?」
「ハグしてみるのがいいんじゃない?」
いまどきの幼稚園児マセてない?とか思っていると、女の子に目線を合わせていたアオイが、私の方へ向き直ると私の事を抱きしめた。
「これでいい?」
「バッチリよ!お姉ちゃんは、ドキドキしてる?」
私は、恥ずかしくてただ頷いてみせた。
「それじゃー最後に仲直りの魔法をかけます!2人が手を繋いだら仲直りですっ」
いつも幼稚園では、そうして仲直りしているのか、アオイが私の手を握ってくれた。恋人繋ぎにいっそうドキドキしてしまう。
「ありがとう」
アオイは、幼稚園児の頭を撫でる。女の子の魔法は、私を素直にさせる魔法みたいで、今度はちゃんと手を繋いでいられた。




