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学校の帰り道、駅の近くの公園で私はアオイを発見した。
ベンチに座っているアオイに近づこうとして、表情が曇っていることに気づく。
その手には何かが握られていた。
「アオイくん?」
私に話しかけられて、顔をあげたアオイがビックリしたような表情をする。
「その花どうしたの?」
アオイの手にはカーネーションが握られていた。
「めるにあげる」
ベンチから立ちがあったアオイは、私に持っている花を渡してきた。思わず受け取ってしまったけど…カーネーションって5月だから母の日のやつ?かな。
「今日、母の誕生日で」
「あ!用事あるって言ってたもんね」
もしかして、お母さんの誕生日にお花を買いに行っていたのかな。
私は、公園から帰ろうとするアオイを追いかけた。私が、話し出すよりも早くアオイが口を開いた。
「学級委員会でなくて、ごめん」
アオイは、真面目だから委員会に出席しなかったことを謝ってきた。
「家族の誕生日も大切だよ!これ、渡さないの?」
公園から出ていってしまいそうなアオイの腕をひっぱった。振り返ったアオイは、悲しそうな顔でぽそりと呟いた。
「…………………いらないって」
「え?!そんなことある?!」
自分の子供が親へのプレゼントを拒否するなんてことあるかな。
「親はミツルのほうが好きなんだ」
「何言ってるの…」
それが本当でも嘘でも、心が痛くなってきてしまいそうだ。
「クラス見てたらわかるだろ。誰だってイケメンで人気者のほうがいいじゃん。そりゃそうだろ…それが親なら、なおさら」
まるで、その意見は親が子供をファッションの一部かのように思っているかのような言い方に聞こえた。
たしかに、アオイはミツルほど髪色も派手ではないし、クラスで目立っているわけでもないけど、家族にとって関係あることなのかな?
私がアオイへの返答に困っていると、アオイの口からボロボロと言葉がこぼれてきた。それは、ボソボソと喋るから聞き取りにくいけれど、きっとアオイの本音なのだろう。
「それに、ミツルのほうが頭がいいし、足だって速い……」
双子で顔は同じなのに、ずっと兄弟間で比べられて生きてきたのかな?
私は、アオイになんて言ってあげたらいいんだろう。
「あの、コレありがとう」
私は、カーネーションを貰ったことへの御礼を言うことにした。
「え…………」
「アオイくんにとって必要のない物をくれただけだとしても私は嬉しいから、貰うね」
それは、きっとアオイがお母さんから本当は欲しかった一言を私は返すことにした。
もちろん言葉なんて貰いたい人から貰わなければ意味がないことくらいわかっている。
けれど、そうしないとアオイが可哀想で仕方なかった。自分の家庭からは想像できないような日常をアオイはおくっているのかもしれない。
そう考え始めるとアオイの事がより知りたくなってしまった。




