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「え?!」
アオイの突然の申し出に困惑する。
「叔父さん夜勤だから、朝まで帰ってこないんだ」
「そう、なんだ」
どんな反応したらいいんだろう。ずっと会えなかったから、もっと一緒にいたいけど。
「突然、そんなこと言われてもだよな。家、送っていくよ」
とくに怒ったわけでもなく、アオイは食器を片付けに台所へ向かう。
私は、そんなアオイの背中を見つめながら、台所にやってきた。アオイの背中ごしにシャツを引っ張る。
「ん?」
アオイは、振り向かないけど返事だけ返してきた。
「その…まだあの日のことが怖くて」
「…うん」
ミツルとの間に起こったことについて、私は何も覚えていない。でも、お互い裸でミツルがアオイの顔で私の上にいる事が頭にはりついてしまっている。
でも、きっとミツルが体調を気遣ってくるあたり…アレは真実なんだ。
アオイが私に言ったように、私の存在もアオイを傷つける事にならないのかな。
「帰ろう?」
モヤモヤとした気持ちを一掃するようにアオイの優しさが逆に苦しい。
いっその事なら、いつもみたいに強引に私がアオイの物だって分からせてくれたらいいのに…。
マンションから帰る間、アオイは私の手を繋いでくれた。
なんだか、さっき言われたことを頭でもう一度考えてしまった。
アオイとミツルが兄弟である以上、今後もこういういざこざは起こるのかもしれない。
そう言われてみれば、私の初めてって全部ミツルに奪われてしまっているんだ。あれだけアオイが、私の初めてが欲しいって言う理由も納得な気がしてきた。
ミツルに何かを取られてしまう前に、アオイと恋人らしいことをたくさんしていけばいいのかな。
私が不安に思っているミツルとシてしまった事もアオイで上書き出来たら、こんなにクヨクヨしなくてすむのかな?
泊まらないって選択が逆に不安を長引かせてしまってたりするのかな。
私は、気づくと自分の足が止まってしまっていた。
先を行くアオイが振り返った。
「どうした?」
「わ、私…やっぱり今日、泊まるっ」
自分でも思い切ったこと言ってるなって思う。
「そんな、無理しなくても」
「ううん。私、やっぱりアオイくんと一緒にいたい…」




