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アオイが私の事を抱きしめ返してくれたから、私は顔を上げた。
すると、とまどいながらもアオイの顔が降ってきて私にキスをしてくれた。
「こういうキスが好きなんだろ?」
アオイにしては、めずらしく簡単に唇が離れていってしまった。
「え?(もしかして、私…また人を間違えた…??」
バレンタインの日に同じようなキスの仕方で人間違いを起こしただけに、私の胸がザワザワとしてしまった。
「あ、無理。恥ずっ」
私の冷や汗なんて全然気にしてないアオイが、顔を背けながら耳まで真っ赤になっていた。
「ん?(これは、間違いなくアオイくんかも」
「こないだミツルから、めるがミツルみたいな優しいキスが好きって言われたんだけど、俺にはメロいキスとか無理だわ」
ミツルから嘘情報を言われて、アオイはそれを再現したかったらしい。
「ううん。違うよ。私、いつものアオイくんのキスのほうが好き」
私も私で何言ってるんだろう。恥ずかしいな、もう。
「なんだ。そっか。この2週間くらいずっと無駄に悩んでたわ。よかった。また、めるとこうして笑えるようになって」
「うん」
「上がってく?俺の家ではないけど」
私の返事を待たずに、アオイは私の手を取るとマンションのリビングへと歩いていく。
テーブルに腰掛けるとアオイは冷蔵庫に飲み物を取りに行ってしまった。
テーブルに置かれたものを眺めていたら、チョコの紙袋が置いてあって目にとまった。
「あ、これ美味しいチョコのお店のやつ」
「それ、めるのだから食べていいよ」
アオイくんが2人分のココアを持って戻ってきた。
「私の??」
「本当はバレンタインの日に、俺からめるにチョコを渡したくて買いに行ったんだ」
もしかして、だからバレンタイン当日は気付いた時には、アオイが先に下校していたのか。
「でも、俺家にスマホ忘れてたらしくて、そもそもメール返せなくてごめんな」
メールが返ってこないのも、なんでなんだろう?って思っていたのは、そういうことだったんだ。
「だから、はい。開けていいよ」
私の目の前に、チョコの紙袋が手渡された。ハートの箱を開けると、薔薇の形をしたチョコが6個並んでいる。
「わぁ、美味しそう!!」
口に運ぶと、1つ1つ中に入っているジャムが違うことがわかる。
「美味しい♪ありがとう」
「渡せないと思ってたから、食べてもらえて嬉しい」
私の空になった飲み物のコップを取りに来たアオイが、そのまま私にキスをする。
「………っ…」
最近、少しだけ慣れてきた大人な感じのキスに、まるでアオイが私の舌と一緒にチョコを堪能しているみたいに口の中を動き回っている。
「める、甘い……もっと、ちょうだい?」
「ぁ……アオイく……んっ」
やっぱりアオイが私に求めるキスは、強引で少し苦しくて私の事を簡単に離してはくれない。その独占欲にも似た愛が心地よくて嬉しい。
もっと私だけを見ていて欲しいと思ってしまう。私だけを求め続けてと願ってしまう。
「める……今日、泊まっていかないよね」




