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38/56

ー38ー

 キスマークに浸りながら、慣れない着物を脱いでいた時のこと。いきなり真後ろから声がした。

「みぃーつけた♪」

 その声は、私の真後ろからしていて、振り返るとミツルと目が合った。

「きゃあ!」

 私は、着物を脱いで下着姿だったため、前を隠しながら後退った。

「あけましておめでと☆めるるん」

「い、いま着替え…」

 私が口を開こうとしたとき、ミツルの手元のスマホがカシャッという音をたてた。

「な、なにしてるの…?」

「正月早々、アオイがどこかに消えるから、こんなことだろうと思ったんだよね」

 いま写真撮った…???ミツルの顔はいつもの意地悪な感じとは違って、笑いながら怒っているみたいだ。

「アオイとココで何してたの?」

「な、なにも…着物を借りただけ」

 後退りも後方の鏡のところまでやってきてしまって、もう後ろに下がることは出来ない。

「首筋にそんな痕を残しながら嘘つくの?」

 冷たいミツルの指先が私の首筋あてられる。

「っ…」

 私の冷たそうな表情に、外からやってきたミツルも自分の体温が下がっている事に気付いたらしい。

「あ、ごめんね。俺もめるるんに温めてもらいたいな」

「え、なに?!」

 こっちに来ないで!と、出した両腕を掴まれてしまった。そのまま、ミツルもアオイと同じ首筋へキスをする。

「(まったく同じ場所にしたら、さすがに気づかれないんじゃね?」

「や、やだ…やめて」

 これ以上、なにをされるか分からなくて抵抗する。

 思いの外、あっさり腕はとかれて、ミツルが私が着ていた着物や帯を持っていこうとする。

「着替えなよ。風邪引くよ」

「え、え……うん」

 あいかわらず、ミツルが何をしたいのか分からなくて困惑する。でも、チラッと鏡で見た感じでは、痕が増えているような感じではなくてホッとした。

 これ以上、下着姿を見られたくなくて、今日着てきた洋服に着替える。

「今日、着てる洋服も可愛いけど、着物姿のめるるんも見たかったな」

 ミツルは、私が脱いだものを器用に畳んでくれている。

「家族に今年は着物とか着るのどう?って薦めたのは俺なんだよ(嘘だけど」

「そうなの?」

「アオイの着物姿をみて、自分も着たくなっちゃったの?」

「ま、まぁ」

 そりゃ、お正月に初詣行こう!って言ったのは自分だけど、片方だけが着物を着てる恋人同士は…なんか、嫌かもと思えなくはない。一緒がいいって私がいったからこんな事になっちゃったのかな。

「よし、片付け終わりっと」

「ありがとう」

 ミツルが着物を元の場所に戻すと私のところへやってきた。

「アオイの着物姿を見れたのは俺のおかげでしょ?だから、さっきのキスのことはアオイに言わないでいてくれる?」

 また、いつもの甘えたモードなミツルが顔を出した。

「なに言ってるの?さっき撮った写真消してよっ」

「めるるんが言わない。って保証もないのに消すわけなくない?」

 こういう時、どうしたらいいんだろう。ミツルは、周りにいないタイプすぎてよくわからない。

「言わないよ……言えるわけないじゃん」

「これで、ようやく俺とだけの秘密が出来たね★」

 ミツルは、いつもの意地悪な微笑みを浮かべていた。本当にアオイに密告しないかどうかに震えてるのは、私の方なんだけど……。

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