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※後書きだけ増えました。
舞踏会に来ているお姫様達も劇を見に来ている会場もザワザワとし始めてしまった。
これも台本にはなかったことだから、次の展開にどう繋げればいいのか悩んでいると……私とミツルを引き離すようにアオイがやってきた。
「アナタのようなセクハラまがいの王子になどシンデレラは渡せませんね」
私は今度はアオイの腕の中に抱きしめられる。アオイは、手に持った魔法の杖でミツルとの距離を取った。
ミツルは、いつもの意地悪そうな顔に戻ると、魔法の杖を手で払ってアオイに詰め寄った。
「シンデレラの物語ってー王子と幸せになるんじゃないのかなー?」
「台本にないことしてんじゃねぇ(てめぇ、後でしばく」
「そっちこそ台本にないところで、出てきてんじゃねぇ」
「ちょ、ちょっと兄弟喧嘩しないで」
完全に兄弟の小競り合いが始まってしまった。
「わっ」
私は、アオイに腕を引っ張られると、劇の舞台から走り出した。走り出したというか、体育館から出てきてしまったので、完全に劇からは離脱してしまった。
「待って、待ってアオイくん!」
慣れないヒールで走ることができず、渡り廊下で靴が脱げる。
それでもアオイが立ち止まってくれなかったので、私は裸足のまま学校内を走った。
全速力で、誰もいない自分達の教室に帰ってきた。お互い息が整っていない。
私の肩に頭を乗せたアオイは、なんで劇から逃げてきたのかを教えてくれない。
「……ど、どうしたの?」
「俺が……先にめるにキスしたかった」
さっきのミツルにキスされたのを、しっかりと見られていたらしい。
「そんなの…私だって、そうだよ…」
私の言葉を聞いた瞬間にアオイがガバッと頭を上げたかと思うと、私のアゴを持ち上げた。
「………んっ?!」
ミツルのキスとは全然違う荒々しいキスだった。息の仕方も分からなくて、向こうが唇を離した瞬間に息を吸おうとするんだけど、また塞がれてしまう。
「んんっ!」
苦しくて、アオイの体を少し強めに殴ると、ようやく私は解放された。
「あ゛ーーーごめん…」
なにかに後悔したようなアオイがしゃがみながら謝罪をする。
「マジで最悪……ほんと、ごめん」
しゃがみ込んだ時に、私の足元を見たのだろう裸足でココまで走らせた事に罪悪感が込み上げてきたんだと思う。
私も教室の床にしゃがみ込むと、アオイと目線を合わせた。
「ううん。このドレスもありがとう。すごく嬉しかったよ?」
そう言いながら、私はもう一度キスをしてもらうために瞳を閉じた。
「俺とのキス…嫌じゃない?」
さっきのキスで嫌われたとでも思っているんだろうか?アオイからのその問いは2回目なので、少し笑ってしまった。
「私、その答えをもうアオイくんにしてるよ?」
「それもそうか…今日まで我慢しなけりゃよかった」
そう言いながら近づいてきたアオイのキスはさっきとそんなに変わらなくて、でもそれは自分をすごく求められているみたいで、ミツルとした軽いキスを忘れさせるくらいアオイのキスで簡単に上書きされてしまった。
《ミツル視点》
劇が終わって、渡り廊下を歩いているとき、
めるるんの履いていたガラスの靴を見つけて、
「これじゃ、まるで本物のシンデレラじゃないか」と、苦笑する。




