ー21ー
林間学校の最後の夜になった。
今日は、晴れていたので外でキャンプファイヤーがあり、それぞれクラスの出し物がある。
うちのクラスはダンスだったので、足が動かせない私は、横で見ているだけになった。
全てのクラスの出し物が終わると、キャンプファイヤーの周りを囲むように男女が一組ずつ手を取り合ってクルクルと回る。
ミツル軍団は、もちろん次は自分の番だと、ミツルの手を取る瞬間をいまかいまかと待ちわびている。
「まるで、シンデレラみたい」
ミツルという王子様に出会うために、みんな目を輝かせているお姫様みたい。
「めるもシンデレラに憧れてるの?」
そこへ、アオイがやってきた。
「ううん。憧れてなんかないよ」
自分がお姫様なんかじゃないって、もう知ってしまっているから…。
「幼稚園の時もね。こんな感じだったんだ」
「?」
アオイは、そっと私の隣に座ってくれた。
「小さい時に、大きな手術をして、幼稚園の運動会に出られなくて、その時もこうして皆が楽しそうにしてるのを、横でただ見てたんだよね」
「そうなんだ」
アオイは、私の不幸話を隣で静かに聞いてくれた。
「あの時から何で私だけ皆と違うんだろうって…ずっと思ってた…」
「それで言ったら、俺も何で皆ミツルなんだろうって思ってたよ」
私が、あまりにも暗い過去を取り出すもんだから、アオイも自分の過去の話をしてくれた。
「まーそりゃ勉強もスポーツも顔もいいほうがいいよな。って今では思ってるんだけど、俺のこと好きでもないのにミツルの近くにいたくて告白してくるような女子もいたから、女子の告白とか信じられないだよな」
あ、それだから付き合ってほしいって言った時に、疑ってたのかな。
「私の事は信じられるの?」
「信じるかどうかって言うより、めるはミツルがそんなに好きではなさそうだし、半年も一緒にいるんだし信じてみようかなって思っただけ」
「そうなんだ」
付き合うよって言ってもらえたけれど、本当の意味で信じてもらえてるわけではないのかな。
「そういえばさ、夏休みの事を思い返してたんだけど、めるは他にも俺になんか言った?」
「え、なにが?」
私、あの日なんか言ったっけ?
『私、嫌なんかじゃないよ?』
アオイからキスされるの、嫌じゃないよ!って帰り道で言ったんだった。
「嫌じゃないって、なんの事だっけ」
「わ、わーーーーっ」
私は、アオイが思い出さないようにすることに必死だった。
思わず、アオイの口を両手でふさいで、その手に力を込めた。
すると、アオイが後ろに仰け反るから、そのまま二人して倒れ込んでしまった。
よもや、私がアオイを床ドンしているような感じになってしまった。
「その事は、思い出さなくていいからっ」
「そうなんだ?」
私は、アオイの上から体を起こした。
すると、アオイも体を起こしながら、
「めるは、自分のこともっと大切にしたほうがいいよ」
そうつぶやくと、アオイは私の後頭部を優しく撫でた。




