ー20ー
そして、災難はさらに続いていく。
工作の時間が終わり鳥の巣箱は、なんとか完成した。
いったん巣箱を寮に置きに行こうと作業場から帰ろうとした時、私はミツル軍団に呼び止められた。
「ちょっと朝倉さん…」
振り返ると5人くらいの人に囲まれていた。
「ミツルと仲良くしないでくれない?」
「え…」
でも、私から近づいてるわけじゃないのに…。
「あと、なんでミツのジャージ着てるの?」
「これは」
アオイから借りているジャージを引っ張られる。
「それ、俺が貸したやつだけど」
「げっ…めんどうな奴きた…」
いきなりのアオイの登場に、ミツル軍団は退散していってくれた。
アオイが私の真横までやってきた。私の様子を確認したアオイは一言。
「心配になって来てみれば、なんで怪我増えてんの?」
それは、自分で打ったかなづちの部分のことを言っているのだろう。
「これは自分で、その…」
「あいかわらず、陰湿なイジメされてんの?」
「違っ!これは、たぶんイジメとか…じゃないと思う」
囲まれてたのはイジメじゃなくて、みんながミツルから好かれたいだけなんだと思う。
「お人好しにもほどがあんだろ」
アオイが私の頭をポンッと優しく撫でる。それだけで、さっきまであった張り詰めた緊張感がなくなっていく。
私は、何故かいまだ!と思ってしまった。夏休みからずっとモヤモヤした気持ちをアオイに聞かないとって思ってしまったんだ。
私は、寮に戻ろうとしたアオイを呼び止めた。
「あのっアオイくん!」
「ん?」
一歩先を歩いているアオイが振り返る。
「わ、私が好きって前に言ったの覚えてる?」
「うん」
「それで、その…付き合ってほしいんだけど」
頑張って言えた!と思った瞬間に向こうから返ってきた言葉は、なんか冷たい一言だった。
「それもアイツ等に言えって言われたの?」
「え……?」
「それは罰ゲームか何か?俺と付き合いたい奴なんていないよ」
私は自分の本心を言ったのに、どうもアオイを不快にさせてしまったらしい。
あまりにも強い言葉が返ってきてショックで私はボロボロと泣き出してしまった。
「そんなことないよ……私、本当にアオイくんのことが好きで……好きなのに」
どうしたら、この気持ちが届くのか分からなくて、ただただ泣きじゃくってしまった。
「え……ごめん」
アオイの口からお断りの言葉が出てきて、私の涙が引っ込んでしまった。
顔を見ないように走り去ろうとして、アオイから腕を掴まれた。
「違う。いまのは断ったんじゃなくて」
「……?」
「夏休みの『好き』は、人として好きって言われたもんだと思ってて、俺もめるが好きって軽弾みに言ってごめん。めるが、そこまで想ってると思ってくて」
どうやら、夏休みの告白は告白としてカウントされていなかったらしい。
「本気で言ってんの?俺と付き合うって」
なにやら、アオイはまだ私の告白を疑っている?らしい。
私はアオイから聞かれた事に、ただコクンっと頷いてみせた。
一度ため息をついたアオイは、
「俺と付き合って何が楽しいのかは知らないけど、めるが飽きるまで付き合うよ」
「え?本当に??」
私は、ようやく顔をあげた。
「まー泣かれるよりはマシだし」
それじゃ、まるで私がアオイを泣き脅したみたいな感じじゃないか。




