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なんだかんだと、碧は授業が終われば黒板を消してくれたりして、言葉をあまり交わさないわりに、ちゃんと日直の仕事をこなしてくれた。
放課後になり、職員室から教室へ持って行ってほしいというプリントを受け取った。あまりにも日直の仕事を任せすぎてしまっているような気がして、プリントくらいは自分が運ぼう。と、私が思っていると
「持つの代わる」
「え、大丈夫だよ!そんなに重くないし」
むこうが私に気を使ってくれたけれど、断ったので碧が私の隣を歩く。
渡り廊下を進もうとして、いきなり突風が襲ってきたので、私はよろめいてしまった。
「大丈夫か?」
「え…」
プリントと一緒に私の肩を引き寄せた碧の腕の中に私はすっぽりと収まってしまった。
「…?足とかくじいてない?」
反応なくぽかんとしている私を碧が心配してくれているけれど、私の心がそれどころじゃなくて困る。
「ちょっと待って、飛んでったプリント拾う」
とくに怪我はないと判断したのか碧は、私の腕の中から飛ばされてしまったプリントをかき集めている。申し訳ないという気持ちと、よく分からないドキドキに頭が真っ白になってしまった。
朝も心に肩を組まれて、似たような感じで相手の腕の中にいて、なんなら二人は双子だから顔もまったく同じはずなのに、なんで私は碧にだけドキドキしてるんだろう。
「ごめん!」
「怪我してないなら、いい」
碧は、床に一度落ちた書類の土をはらいながら立ち上がった。
教室に戻り、教卓にプリントを置いたら日直の仕事が終わる。
「1日ありがとう。1人でやるの心細かったから助かった。それじゃ」
また、明日。と、言おうとして碧の言葉に私は足を止めた。
「名前、なんて読むの?」
「え?」
学校初日の挨拶で言った名前なんて覚えられているわけもなく、自分の名前の読み方を聞かれたみたいだ。
「める」
「この漢字で名前言い当てられる事なくない?」
「そうなの。なんか、もう諦めてる」
難しい漢字の当て字のような読み方に、いつも初めましての人から名前で呼ばれたためしがない。
「俺も同じ」
「え?」
「俺もあまり名前あたってる時ない」
私よりは読みやすいような気がするけど、たしかにミドリとも読めそうかも?と、思っている所へ担任の先生がやってきた。
「なんだ、日直組がまだ学校にのこってたのか。お前達、そのまま学級委員もやらないか?」
男の担任の先生から、役員のお願いをされてしまった。
「私は、大丈夫ですけど」
チラッと碧をみると、やる気のなさそうな顔をしているような気がしたのに
「俺も大丈夫です。とくに、部活に入る予定がないので」
案外、クラスの役員なんて面倒な事を引き受けてくれるみたいだ。私達二人の返答に担任はとても喜んでいた。
「じゃ、決まりだな!(こんなに楽に決まることがないからラッキーだったな」
こうして、私達は日直の流れから学級委員をすることになった。




