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高校1年生になって、はりきっていた高校デビューはあっけなく終わってしまった。
それというのもコロナのせいかもしれない。入学初日から全生徒マスクが必須のご時世に、デビューも何もありはしなかった。と、いまになってみれば分かる。
私、朝倉 音瑠は、新学期が始まっても上手く友達も作れず困っていた。
「(友達って、どうやって作るんだっけ」
入学式から数日がたち、日直の当番が回ってきた。日直は、2人でやるものなんだけど、私の後ろの席の男子は、朝日 碧という無口な男子だった。
あまり普段、喋っているところすら見たことなくて話しかけづらいな…。
それは、自分も同じかな。っと思って思い切って話しかけてみた。
「あの!今日、私達って日直だよね?」
私は、席を立ち上がり振り返りながら言った。その瞬間に私は、碧ではない別の誰かに話しかけられた。
「碧とじゃなくて、それ俺と一緒にやらない?」
私の後ろからやってきたのは、朝日 心だった。碧と心は、双子らしく顔が似ている。けれど、はっきりとした違いがあるとしたら雰囲気の違いだろうか。…心のほうがチャラい。
心は、私へ肩を組むようにしながら顔を近づけてきた。クラスで1番のイケメンの顔が私の顔を覗き込んでいる。
「……えっと」
出席番号の名前の順番的に、私と碧がペアになって日直をする形なのに、なんで1人飛ばして心と日直しないといけないんだろう?
私が困っていると、クラスの女子達がザワザワとしてきてしまった。
「ミツと仲良くしてるアイツなに?」
「ミツと日直できるのとか、羨ましすぎる」
どうも、入学した日から女子に人気の心と関わっていたら、女の子友達を作るどころの話ではないかもしれない。
「汚い手をどけろ」
「!!」
いきなり立ち上がった碧が、オロオロしている私の肩におかれた心の手を払いのけると、腕をひっぱられて碧と一緒に廊下にやってきた。
「弟がウザくてごめんね」
申し訳なさそうにそう言ったのではなく、兄としてやれやれとでも言いたげな雰囲気を出される。
「え、いえ」
「困ってそうな顔してたから」
私は、教室で言葉にしてもいない事をこの人は顔色だけで読み取ってしまったのかな。なんだか、すごいな。
私の返答を待つこともせずに碧は廊下を歩き始める。
「あ、あの」
その後ろを追いかけながら話かけようとすると、
「職員室行くんだろ?」
「うん」
私は日直の仕事を手伝ってもらえることに驚きを感じていた。碧の見た目からしたら、「めんどくさい」とか言って手伝ってくれないような男子だと思ってしまっていたからだ。
少し目にかかる前髪と黒いマスクのせいで、相手の感情が読み取れないけど、悪い人ではないのかもしれない。
「ありがとう」
私は、相手に聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声でお礼を言った。




