ー17ー
そんな絶望を私が感じている事をアオイが知るわけもなく林間学校になった。
行事的に忙しすぎて、告白の続きをしているヒマもなかった。
1日目は、ウォークラリーをしたり、カレーを作ったりと体力を削られていくうえに生徒はスマホを没収されていて、なにかの限界をすでに迎えている人も少なくなかった。
「寮にテレビもないんですけど?!」
「スマホあっても圏外じゃ仕方ないかー?」
「先生達、ポケットワイファイ持ってるらしーよ?」
いろんな錯綜が飛び交う中、女子しかいない寮の夜にミツルがやってきた。
「よっと」
私が寝ている寮の部屋の窓からミツルは器用に入ってきた。
「めるるん、肝試ししない?」
ミツルが声を発すると、寮で眠りにつこうとしていた全ての女子が起き上がった。
「ミツ!!!」
「行く〜!!」
でも、寮の玄関を担任が戸締まりするまでの時間はあと30分に迫っている。
この大騒ぎで肝試しを、30分なんかで帰ってこられる気がしないんだけど。
けれど、私が行かなければ、ミツルが帰ってしまうことを分かってる女子達が「行くんだよね?」という顔をこちらに向ける。
「…う、うん」
みんなが一斉にスリッパから靴に履き替える。
『じゃ、行くよ〜!』
ガヤガヤと移動する中、懐中電灯を持っているのはミツル一人だけだ。
森の中をよく見ると、他のクラスの懐中電灯もチラホラ見えるから、同じように肝試しをしている人達はいるみたいだ。
先頭から少し離れた場所を歩いていた時、誰かに肩を押されて後退りすると、木の根を踏んでしまいバランスを崩してちょっとした段差から落ちてしまった。
「いたっ……」
どうやらバランスを崩した時に足を捻ってしまったみたいだ。動かそうとするとすごい痛さで歩き出せそうにない。
そうこうしているうちに、懐中電灯を持っているミツル集団から遅れを取ってしまった。
「(どうしよう…真っ暗で何も見えない」
寮を抜け出してきている状態なので先生に見つかってしまったらマズイという気持ちがある。
なんとか一人で段差をこえると、大きな木に体を預けた。ジャージがけっこう泥まみれになってしまった。
ヨロヨロとしているところへ、一人の男子が通りかかった。
「もしかして、める?」
「え?アオイくん?」
聞き馴染みのある声に涙が出そうになってしまった。
「どうした?!」
「ちょっと転んだら足を挫いちゃって…」
近寄ってきてくれた私に肩を貸してくれたけど、それでは全然歩き出せなさそうだ。
「救護室まで行くから背中乗れ」
「え、でも汚れてるし」
「いいからっ」
恥ずかしいし、汚れてるしでなんかすごい嫌だったんだけど、アオイの背中に乗ることにした。
「重くない?」
「大丈夫。とりあえず、明かりそっちが持って」
私は、言われた通りにアオイが歩く道を照らす。そもそも林間学校の地図なんて頭に入ってないのに、迷わず歩き出せるってすごいな。
「あ、でもアオイくん消灯時間が」
このままじゃ、アオイまで寮に戻れなくなっちゃうんじゃ…
「いまは、そういうのいいから!」
しばらく歩いて、アオイが保健の先生の部屋を見つける。私は、アオイに優しく降ろされた。
先生の部屋の扉を叩くも返答がない。
「あれ?見回りに出てていないのかな?」
鍵がかかっていなかったので、中にはいることにした。
「足、見せて?」
救急箱があったので、中を調べると湿布を発見できた。
自分が思っていた以上に赤く腫れていてビックリしてしまった。
「テーピングとかしたほうがいいのかな。明日も痛いなら先生に言って山を下りたほうがよくないか?」
「うーん」
できれば、行事には最後まで参加したいけれど、歩けないならそれも考えないといけないかもしれない。
「結構あちこち汚れてるな」
アオイが脱脂綿にアルコールをつけると、顔の泥を拭いてくれた。




