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ー15ー

「それにしても、朝日くんなんだったんだろ?せっかくアオイくんにぬいぐるみとって貰ったのに残念」

「アイツは気に入らない事あると、すぐ意地悪してくるから…(返して欲しかったら言う事聞けとか言ってこないといいけど」

 ゲーセンを出て、同じビルのエスカレーターを下っていると、店員さんに声をかけられた。

「そこのカップルの方、観覧車乗りませんか?いまなら10周年の記念グッズ差し上げてますよ!」

 そこにはビルのマスコットキャラクターのぬいぐるみがペアで並んでいた。

「10周年なんだね」

「カップルじゃないけどいいのかな?」

「どうぞどうぞー♪」

 店員さんに促されて観覧車に乗ることになった。観覧車はビルの横を回転しているみたいだ。

 ゲーセンで意味もなく密着してたけど、今度は密室に閉じ込められてしまった。

「普段、このビルよく来るけど、こんなのあるの知らなかったな」

「なんか、ビルの中の人達に見られてて恥ずかしいね」

 2階から観覧車に乗ったんだけど、観覧車が上に登るにつれて、ビルの横に設置されているから各階の人たちと顔を合わせる事になる。

 店員さんはカップルって言ってたけど、私達って付き合ってる風に見えたりするのかな。そもそも、何も考えてなかったけど今日ってデートだったりしたのかな??…何も考えずに家をでてきちゃった。やっぱり、もう少し可愛い格好してきたほうがよかったのかな。

 アオイは、身長が高くてそもそも顔が整ってるから、私服もカッコつけなくても格好良くおさまっている。

 私がアオイを見ていると、向かい合っているアオイと目が合った。

「どうかした?」

「え、なんか、今日カッコいいね…その服装」

 思わず恥ずかしくなって顔をそむけてしまった。

「え、そう?めるも可愛いけど(服装」

 アオイから、そんな言葉が返ってくると思ってなくて、前を向けなくなってしまった。ちょっとは可愛い格好してきて正解だったのかもしれない。

 夕日の色が私の赤くなった顔をごまかしてくれていてよかった。その後の時間は、うまく喋ることができないまま、観覧車を降りた。

「おつかれさまでしたーそれでは写真を撮ります!」

 カメラを構えた係員さんが、ハート型の映えスポットの前で写真を撮ってくれようとした。

「軽くでいいのでキスしてもらってもいいですか?」

「え?」

 いまキスって言った???

「ラブラブショットを撮らせて貰った方にだけプレゼントをお渡ししてるんですよ」

 目が点になっている私に店員さんが付け加える。

 グッズは欲しいけど、付き合ってないのにキスとか無理なんですけど?!

 困っている私にアオイは、お互いが正面を向かせるようにするために私の肩を掴んだ。

「める、目を閉じて?」

 目が合ったら、またドキドキしてしまいそうだから、言われた通りに目を閉じた。

 アオイの手が私の頬に触れる。何をされるか分からない不安から自分の手が震えているのが分かる。

 そして、少しの時間が流れた。

「はい!!ありがとうございます!」

 何故か、なにも起こっていないのに、店員さんだけが満足気にOKを出してきた。

「はい。これ、グッズね」

 私達は、ビルのキャラクターをそれぞれ1つずつ受け取る。

「いまの写真のチェキは持ち帰りますか?」

「えーと」

「持ち帰らない場合は、壁に貼らさせて貰ってるんですけど」

 よく見てみると、私達以外の人のチェキ写真が壁にいくつか貼られている。

「貰っていきます!!」

 そんな公開処刑は、なんとしても阻止しないと!!

 私は、店員さんからさっき撮った写真を受け取った。その写真を自分でよく見てみると、アオイが私の頬に触れた手の角度が上手い具合に口元を隠していて、遠目に見たらキスをしているように見える写真になっていた。

「ぬいぐるみ欲しそうにしてたから。ごめん、嫌だったよな」

「え……あ、ありがとう」

 私はポケットにサッと写真をしまうと、ぬいぐるみに顔を埋めた。

 嫌か?って聞かれたけど、嫌なわけない。学校にいる時ですら私はアオイを意識しているわけで…。

 でも、アオイからしてみたら、私にぬいぐるみを渡すために無理をしてくれたのかもしれない。

「……………。」

 私は、帰り道の間もずっと黙ってしまった。

「それじゃ、また学校で」

 アオイが気まずそうに言って、私はその背中を見送る。…このままで本当にいいのかな?

 自分の気持ちちゃんと伝えなくちゃ。

「アオイくん!私…」

 私の声にアオイが振り返る。

「嫌なんかじゃないよ」

「ん?」

 アオイが意味がわからず首を傾げる。

「私、アオイくんのこと好きだから、嫌なんかじゃないよ」

 思わず告白してしまった。

「ありがとう。俺もめるのこと好きだよ」

 そう言うと、アオイはそのまま帰って行ってしまった。

 あれ?いま私、告白したよね?

 それで、どうなったんだっけ??

 アオイも私のことが好きって言ってて?

 あれ?それで??

 漠然とよく分からないまま夏休みが終わっていった。


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