ー12ー
その日の夜。アオイからメールがきた。ピロン!というスマホの音がして画面を覗き込むと、写真が添付されていた。
そこには、あぐらをかいたアオイの足の前に、ミニチュアダックスがちょこんと座っていた。
『うちのお嬢』
「犬の名前、お嬢なの?!」
『いや、名前は せとか 』
「せとかちゃん可愛いね♪」
アオイとメールのやりとりをしていると、いきなりスマホが揺れだした。
「あれ?」
よく見ると、アオイから電話がかかってきている。それも…テレビ電話だった。
びっくりしてオロオロしている間に、私は受信するというボタンを押してしまったみたいだ。
「きゃっ!」
画面に相手の顔が映し出されると、思わずテーブルにスマホを投げてしまった。
「める?なんで、天井が映ってるの?」
「あ!えと、いまパジャマだから、その」
「あ、ごめん。お嬢みたいかなって電話してみた」
アオイが胸にせとかちゃんを抱いて、ワンちゃんがアップになっている。
「あ、うんうん。見えるよー」
ワンちゃんは可愛いけど、家での私の姿を見られたら恥ずかしくて死ぬ。
「あれ?なにしてんの?」
アオイと二人で喋っていると、いきなりその後ろからお風呂上がりの上裸なミツルがやってきた。
「めると電話」
「わーーーー!ちょっと服きて!!」
少しだけ傾けていたスマホを、また手放した。
「こんばんわーめるるん♪って、なんで天井映ってるの??」
「いや、その流れさっきやったから」
そうか。2人は双子だから、同じ家に住んでるのは当たり前だけど、顔面偏差値が高すぎてドキドキする。
「今日暑かったのに、犬の散歩おつかれさま」
「うん。元気よくてめっちゃ走るから困る」
「そっかー」
なんだかアオイが爽やかに犬と走っている姿が想像できそうだ。
「そういえば、めるって空いてる日ある?」
そうだった。ゲーセンに行きたいって言ったのは私なのに、なにも考えていなかった。
「えっとー金曜日とか、かな」
「二人でどっか出かけるのー?ズルい!俺もいきたい!」
私とアオイの会話に無理やり入ってこようとするミツル。
「ダメ!ミツルは部活あるだろ」
「あるけど、それとこれは別!」
二人の言い合いに、せとかちゃんまでワンワン!!と怒鳴り声をあげている。
「せとかちゃんもビックリしちゃってるから、またね!!」
『あっ……』
私は、まだ何か言いたげな二人を取り残して電話をきった。
…できればアオイと二人がいいけどなぁ
そう思っていると、アオイからメールが返ってきた。
『それじゃ、金曜日に本屋さん集合で』
「うん。わかった」
『時間は、また言うよ。おやすみ』
「おやすみー」
なんか、寝る前におやすみって言いあうのこそばゆいかも。そんなことを思いながら眠りについた。




