ー11ー
七月になって夏休みになった。
正直、暑さが半端なくて夏休みなんて2ヶ月あってもいいよ。みたいな暑さの中、外に出かけることにした。
駅前まで自転車で行って、本屋さんに入った。
「(はー涼しいー」
流れでた汗が冷やされるのが分かる。
欲しい参考書があったような気がするんだけど、どれだったかな…。
自分が欲しい参考書が見つかったけれど、けっこう本棚の上の方にある。
背伸びをしたら届きそうな気もしないではない。
「んー」
身長が低い私が背伸びをしても少し無理そうだ。のぼるやつ持ってこよう。
上の段の本を取る階段のようなものを持ってきて、自分が買いたい本をゲットした。
本を胸に抱きながら階段を降りているとき、使い慣れない階段に足を踏み外してしまった。
「………きゃっ」
「わっ」
私は、そのまま真後ろに転がり落ちてしまった。運悪く通り過ぎようとしていた眼鏡の男性を巻き込んでしまったようだ。
「す、すいませんっ」
「いてて………って、める??」
「え?アオイくん?!」
ぶつかった相手は、休日のスタイルのアオイだった。
「眼鏡かけてるから、誰かと思っちゃった。ごめんね」
「ああ、俺目が悪いんだよね」
アオイくんが眼鏡を外して、いつも通りの見た目になる。こんなところで会えるなんて思っていなかったから、なんだかドキドキする。学生服以外のアオイを初めて見る。
「アオイくんもなんか本を探してるの?」
「いや、犬の散歩のついでに寄った」
暑いのに散歩して、ここまで来たんだ。
「そのうち林間学校もあるから、体力つけておかないと。と、思って」
「……あ、そういえば…そうだね」
私は一気に暗い顔になってしまった。
「運動苦手なんだっけ?」
「運動も虫も苦手かな」
林間学校は、スマホを手放せない現代人の大敵…。電気のない場所へ学生を閉じ込める苦難の行事とされている。
「そのうち、また委員会でいろいろ内容決めるんだろうね」
「いろいろ楽しそうな企画考えような」
「うんうん」
学校の話をしていて、いきなりアオイから別の話題をされた。
「める、クラシックって好き?」
「嫌い」
率直な答えを返すと、アオイがめずらしくめっちゃ笑っていた。
「ミツルが、めるのために練習頑張ってたから、こんな報われない事あるんだなって思ったら……笑いとまらんw」
「え」
そういえば、こないだ車で帰るときに家に誘われたけど、誘う口実のバイオリンをミツルは頑張っているのかな。
「ほら、吹奏楽やってたって言ってたから、好きかも?とか思ってさ」
「ああ!弾いてたのは、意外とJポップが多かったんだよ」
「そうなんだ。俺は、音痴だし音楽は苦手かもな」
この顔が音痴なことある?と言いたいような気がするけれど、逆にカラオケで何歌うのかが気になってしまう。
「アオイくんは、何か好きなことないの?」
「うーん…ゲーセン?とか?」
アオイが天井を見ながら考えて出した答えに私はハテナがいっぱいだ。
「ゲームじゃなくて、ゲーセン??」
「俺、家に帰りたくなくて、よくゲーセン行くから、ゲーセンは得意かも」
「クレーンゲームとかってこと?」
「うん」
取れた景品とかをカバンつけているイメージはないんだけど。
「アオイくんが取ってる所を見たい!」
私は、わりと前のめりに言ってみた。
「え、でも今日は散歩で来てるしな」
ワンちゃんを暑い中待たせておくのはさすがに危ないよね。私が諦めるしかないかーみたいな顔をしていると、アオイが提案をしてくれた。
「夏休み中にお互いヒマな時みつけて行く?」
「一緒に行ってもいいの??」
「めるがヒマでつまらないかもよ?とりあえず、連絡先交換する?」
アオイがズボンのポケットからスマホを取り出した。
「そういえば私達、連絡先とか交換してなかったね」
夏休みになるまでは、毎日学校で会えるから、あまり必要性を感じていなかったんだ。
「それじゃ、また連絡する」
アオイは、私に手を振ると本屋さんから出ていった。私は、参考書を買いに本屋に来ていたことを思い出して、本を買って帰った。本屋さんに来た時より、なんだか嬉しい気持ちで家に帰った。
もはやドラマ化したら、てぃーばぁでスピンオフ見れるんじゃねーか?ってくらいの勢いでミツル人気でてきたんやが?
(この作者の物語、ライバルの人気率高すぎです。)




