02 プラド
牛丼を食べ終えた二人。
二人は店を出た。
黒いプラドは竜樹が父親に貰ったランドクルーザー70ワゴン。
「華胡? なんかぼーっとしてないか?」
「え? ううん! そんなことないよ。」
鍵を開けたことにも気付かず、突っ立っていたので、竜樹は不思議に思った。
そうして、二人は車に乗り込む。
「あのさ、竜樹。」
「ん?」
エンジンをかけ、車は駐車場をゆっくり走り出した。
「さっきの小説の話ね……」
「あぁ、なんかずっと言ってるじゃん。珍しく。」
普段小説など読まない華胡。
だが、何となく興味の湧いた“Color”という小説。
「うん、なんか面白そうだなって。」
「貸してやろうか?」
「いいの?」
それから二十分ほどで華胡の家に着いた。
古い小さなアパートで華胡は一人暮らしをしている。
「じゃあ、明日本持ってくるよ。」
「うん。ありがとう。」
華胡は満面の笑みで頷いた。
すると少しの沈黙が訪れた。
華胡がゆっくり顔を上げると目の前に竜樹の顔が合った。
二人は唇を重ねた。
「……っん……」
何度も。
「……ハァ……ハァ…………」
息が上がり、唇が離れた。
「じゃあな。」
「……うん。」
華胡は助手席のドアを開け、真っ直ぐ家へ帰って行った。
竜樹はその姿を見送り、車を出した。
真っ黒なプラドは、真っ暗な闇の中に消えていった――――。




