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明日へ  作者: yukko
46/57

恋の予感?

下村一輝が電話に出た。


「あの……詩織です。」

(詩織さん! いやぁ~、嬉しいな。電話を貰えると思ってなかったから……。)

「友達に話して、友達がお断りしたいと……。」

(そうでしょうね。……というか……嘘……というか…。)

「嘘?」

(詩織さんの個人情報を得たかったから……嘘つきました。)

「なんて人なの!」

(詩織さん、最後まで聞いて!)

「聞く必要あります?」

(あります! とっても、あります!

 電話切らないで最後まで聞いて!)

「…………酷いわ。ちょっと心配したのに……。」

(詩織さん、友達の見合いが最初ではなかった。)

「どういうことですか?」

(前に一度、見かけた。

 その時、君は妊娠中の後輩の面倒を看てた。

 君の会社の人とは仕事上での付き合いがあって……

 前の会社で……。

 退職前に飲んだ時、たまたま君も宴会で店から出て来た。

 妊娠中の後輩の具合が悪くなってたみたいでタクシーを呼んで……

 タクシーが来るまで傍にいた。)

「そんなこと、あった?……あったわ。」

(君の会社の人が言ってた。

 『お局様とか言う後輩もいるようだけど、とても優しい先輩だ。』と!)

「えっ? 私……やっぱり、お局様なんだ……。」

(そこ?)

「あ……続けて。」

(その日から、君のことが頭の片隅にあったんだ。

 それから、友達の見合い相手の写真を見せて貰ったんだ。)

「写真? 私は見てなかったけど、あの方は見たのね。」

(そこですか?)

「あ……済みません。」

(聞いてます? 僕の話を……。)

「聞いてます。」

(僕は写真を見て、君だと分かったので『会いたい!』って思って……

 友達が話は流れたと聞いて『会いたい!』って頼んだので……。

 今日も有馬温泉に行くって知って、たまたま神戸に出張中で会いたくて、

 『ご挨拶したい』って……ご挨拶ではなく詩織さんに会いたい!

 電話では僕のことを知って貰えないから、会って欲しい!)

「あの……。」

(凄く気になるから……君のこと……。 会って貰えないかな?)

「えっとぉ………私は気にならないんで……。」

(そうだよね。分かってる。

 けどね、恋はどちらからの片想いから始まる場合が多いよね。

 駄目かな?

 あ……僕は独身だから安心して! バツ1だけど……。

 離婚したのが3年前なんだ。 因みに子なしだよ。

 離婚理由は、会った時に話すね。)

「……私のこと知らないのに会いたいの?」

(知らないから会いたい! 会って、もっと知りたい!

 良かったら行きたいな。有馬に……。)

「えっ?」


皆に聞こえるようにスピーカーにして話していたら、「来て貰え!」と書き込まれたスマホを見せた拓海君。

皆が頷いている。

流されてるのかな?と思いながら、旅館名を告げた。


(じゃあ、行っていいんだね。)

「はい。その代わり、友達も居ますよ。 男女ともに……。」

(いいよ。ありがとう!

 じゃあ、10時にロビーに行くね。)

「はい。」

(ありがとう! 友達にも『ありがとう!』って言ってたって伝えて。)

「はい。」

(じゃあ、明日!)

「はい。」


電話を切ると、拓海君が言った。


「よっしゃー! 採点するぞ!」

「うん。詩織ちゃんに相応しい男かどうか、しっかり見定めないと!」

「そうよ。お兄ちゃん二人も居るんだものね。」

「おう!」

「おうよ!」

「詩織ぃ~……。」

「何?」

「恋の予感……しない?」

「別に……感じない。」

「ええ―――っ。」


燥ぐ美里、張り切る拓海君と翔太君……。

見守るその三人のパートナー。

それぞれの部屋に帰って休んだのだ。

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