あれから三年と八日目
旅行に行こう。
これが時間を自由に作れるようなそれなりに余裕ある日々を送っている人間ならともかく、俺の幼馴染たちはどいつもこいつも揃って底なしに優秀なものだから、基本的には忙しい。
そんなわけで、それぞれの予定の会う日にでも行けばいい、くらいの気持ちでとりあえず声を掛けてみたら一時間もしない内に言い出しっぺのアリスはともかく、メリッサとレインまで完璧に旅行の準備を整えていた。なぜか俺の旅行の準備まで整っていた。
「……仕事は?」
「なくなった」
仕事が?それとも依頼主が?
怖くて聞けないし、これまでの経験上、余計なことを知ってしまうとろくなことにならないのはよく分かっているので「……そっか」とだけ返しておいた。
あと、当たり前みたいにユーリが帰ってきてた。
なんか置いて行かれる気配を感じたらしい。にしても帰って来るタイミングが良すぎると問い詰めると次元を斬り裂いて帰ってきたと言われた。ちょっと見ない間に意味分からん事できるようになってるのほんとに納得いかないし、そんなことできるならもっと頻繁に帰ってきてほしい。
ともあれ、そんなこんなで思いがけず旅行の準備が整ってしまった。
まともに行き場所も決めてないんだけど……まぁ、行き当たりばったりでいいや。
どうせ予定通りにいくとかあり得ないし。




