あれから三年と四日目(9)
「コロス……ニンゲン……クイモノ……コロス……!」
「……ひっ」
超キレてる。
可愛い後輩が揃いも揃ってビビってるからやめろよぉ……。あと、俺もチビりそうなくらいビビってるんでほんと勘弁してください!
つーか、ふざけんなよこの化け物!なんであれくらって普通に生きてんだよ!
「イタカッタ……イタカッタ……ユルサナイ!!」
うるせえ!
こっちだって片腕飛んだり、大穴空いたり、肩外れたり、負傷してるんだよ!お互い様ってことで許せ!許せよ!許してよ!許してくださいよぉ!!
「ま、ますたぁ……」
「大丈夫、ですか……?」
「……」
……ちくしょう。ノアとナギがいなかったら全力で逃げるのに。
そんな不安そうな目で見ないでほしい。俺だって怖いのに格好つけたくなるじゃん!格好つけたくなるじゃん!
「そんな不安そうな顔すんなって。大丈夫、俺がちゃんと守るから」
あーあ、格好つけちゃった。何やってんのさ俺。頭撫でてる場合かよ。
できることなら、使わずに済むならなんだってやるくらいには使いたくない最後の手段だったのに。
……やるしか、ない、か。
「頼むよレヴィア。たまには役に立ってくれ」
魔法道具は大きく分けて二種類ある。
一つは迷宮産の半永久的に使えるもの。そして、もう一つは魔導師が術式を刻むことによって作られる使い捨てのもの。
しかし、こと迷宮産の魔法道具に関しては、一括りに魔法道具と呼ぶには些か違いが大きすぎるものも存在する。
その違いとは意思の有無。迷宮で発見される魔法道具のごく一部は意思を持ち、魔法道具そのものが所有者を選び、選ばれない者が使うことどころか触ることすら決して許さない。そのような道具と呼ぶにはあまりにも隔絶した在り方と他の迷宮産の魔法道具すら容易く凌駕する強力な能力、希少性からそれこそが謎多き迷宮の秘宝だなんて言い出す輩もいる始末。
そんないいもんじゃねーっての。譲れるもんなら譲ってやりたいくらいだ。こういう希少性の高いものを欲しがるコレクターなんてどこにでもいるし。
ただまぁそれでも……こういうことがあるとやっぱり手放す気にはなれないかもね。
「……悪いけど、連れて帰って貰えると……助か、る…」
止まった世界。どうやらこのきっしょい化け物すらレヴィアにとっては「食材」に過ぎないらしい。
牛みたいなもんだろうし、炙って塩で味付けしたそれを完成させた直後、再び動き出した世界で情けない言伝を残して俺の意識は遠くなった。




