あれから三年と一日目(2)
三年も経てば色んなことが変わる。
例えば俺は気づいたら闇ギルドのマスターにされてるし、ついでとばかりに正規ギルドのマスターにもされてしまっている。意味分かんなさすぎて胃に穴が空きそう。
もちろん幼なじみ達も三年前とは色々変わった。
例えばユーリは聖剣の代わりを探して旅に出た。小説のなかに出てきた魔剣使いの勇者がかっこいいという話をしたらなんか触発されたらしく「最強の魔剣を探してくる」という書き置きだけが翌日残されていた。それ以来、姿は見ていない。たまに近況報告とどこから知ったのかうちのギルドに丸投げされた無茶な依頼の達成を知らせる書簡が届くくらい。この間、風の噂で名のある剣豪に勝負を挑んで剣を奪う人斬りがでているという話を聞いたので気を付けてほしい。
レインやメリッサ、アリスは一応名目上はうちのギルドのメンバーということになっている。会おうと思えば会える距離にはいるけれど、それでも昔のようにとはいかない。腕利きの冒険者ですらさじを投げるような厄介な依頼を次から次へと丸投げされるせいで、幼なじみ達は毎日忙しく働いている。ちなみに俺はあいつらが依頼をこなすなかで起こした問題の解決に奔走している。主に謝罪をしている。この間もうっかり貴族の屋敷を消し炭にしたらしく、菓子折り持って土下座しに行く羽目になった。「燃えたのが屋敷だけで済んでよかったわね?」とか言い出したときは終わったと思った。
と、まぁ、そんなこんなで色々変わったけど、やっぱりあの頃と変わらずろくでもない毎日を過ごしている。
今日もまた朝から酷い一日だった。
いや、今日はいつも以上に酷い一日だった。
『やぁ、久しぶりだねルーク! 実は少し君に伝えておきたいことがあるんだ。でも、手紙で書くには少し不安な内容でね、できるならこっちに来て欲しいんだ。明日とか空いてないかな? もし、無理そうなら私がそっちに向かっても構わないよ!』
原因は早朝に届いた手紙にある。
差出人は世界各地に点在する『ギルド』を束ねる『中央ギルド』のトップ。
この男からの手紙にはろくな思い出がない。間違いなくろくでもない事件に巻き込まれる。
かといって、放っておけば十中八九もっとろくでもない目にあうのはこれまでの経験から知っている。
今度は何を言われるやら……。
明日、嫌だなぁ……。




