我の主は日記好き14
そもそも、あのクズに限って何が起きているのかを正確につかめていなかったなんてことが本当にあるのだろうか。
……あるわけがない。
十中八九、何が起きているかあらかじめ知っていて、そのうえで知らないふりをして手駒を調査と評して送り込んだんだ。そうに違いない。
ほんとにムカつく奴だ。いちいち回りくどいことをして、あちこちに根回しをして、自分の欲しいものは何だって手に入れようとする。
傲慢で強欲で空っぽの何の面白みもないクズめ。
「おい、無機物。ルークに触るな。殺すぞ」
『……我に指図するな勇者。大体、我と主は魂の深い部分で繋がっているんだぞ? 今更触ったくらいで騒ぐな。……お前もだぞ、小娘?』
ベッドに腰かけ、寝むりこけている主の頬を突いて考えを纏めていると、背後から殺意を伴った声がかけられる。
もう一人に至っては殺意どころか全身全霊で我を殺しにかかっている。
全く、人間如きが。身の程を弁えろ。
たかだか優秀な程度の人間が、永遠を生きる我に敵うとでも思っているのか。勘違いも甚だしい。
「今日の奴、あれはどう見てもお前に関心を示しているように見えた。……どういう関係だ? そもそも……あれは本当に人か?」
『……へぇ? あれの在り方に違和感を覚えたんだ? なかなかやるじゃないか勇者、褒めてやろう』
人間が「あれ」の歪さを感じられるとはね。勇者の評価を少し改めるべきかもしれない。
「お前ごときに褒められても何も嬉しくない。それより早く答えろ。あいつは何で、お前はあいつとどういう関係だ」
『……言いたくない。お前には関係のない話だ』
勇者がそれで納得しないことはとっくに我は学習している。何かを言おうと勇者が口を開くより早く我は続けた。
『それより、あれがわざわざ自分の目で確認しに来たってことは、あれはお前らにも興味を持ったということだ。そのうち何かしらに巻き込まれるだろうから死んでも主を守れ。むしろお前らは死んでくれてもいいぞ』




