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まだ魔王討伐に行くのは優秀な幼なじみ達だけだと思っているごく普通の少年の日記【連載】  作者: 日暮キルハ
我の主は日記好き

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我の主は日記好き8

 我の危惧していたことが現実になってしまった。


 主が拉致されてしまった。

 随分と気配を隠すのがうまい奴だった。

 化け物幼馴染共ですらその存在に気づけないほどに完璧な隠密だった。おそらくは、魔王の手駒のなかでもかなり優秀な部類の奴なのだろう。


 ただ、相手が悪い。

 気配を隠すことに長けたくらいでは、幼馴染共は誤魔化せても我は誤魔化せない。


 さて、どうやって排除してやろうか。むしろこの邪魔な幼馴染共を排除してくれないだろうか。

 そんなことを思いながら様子を伺っていると、どうやらこの靄のような奴は我の主が目当てらしい。幼馴染共には目もくれず、主のもとへと進むとそのまま主を抱き抱える。


 どうやら、こいつの目的は我の主をどこかに連れていくことらしい。

 さて、どうやらこれ以上成果は見込めそうにないし、そろそろ殺そうか。


 そう思い、人化しようとしたところでふと気づいた。


 ……いや、待てよ?

 これ、我だけ主についていけば、煩わしい幼馴染共を置いていけるのでは?

 魔族に拉致されて困ったところで我に助けられれば主の我への評価も変わるのでは?


 我、天才では?


 そうして、我の主は拉致された。

 なんか、最初は主をじろじろ見たり敵意を向けてくる奴もいたが、主を拉致った奴が主を殺そうとしやがったので逆に殺してやったらそういう鬱陶しいのはなくなった。

 にしても、まさか魔法が使えるとは思ってなかった。

 やっぱり、我の主は面白い奴なのかもしれない。


「……ん。……ここは、えっと……」


 魔力を根こそぎ使ってしまったので人化するだけの魔力も残っていない。

 仕方がないので主が起きるのを待っていると、ようやく目が覚めたのか主が身を起こした。


 周囲を見渡す。

 床に落ちている我を見る。またしても見渡す。

 それから、顎に手をやる。

 そして、状況が把握できたのかガックリと肩を落とした。


 なに、心配することはないぞ主。我がいるからな。


「……まぁ、いいや。日記書こ」


 そう言って、主は我をつかむとおもむろに振り上げた。


 ……え?

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