我の主は日記好き6
我の主はほんと弱い。
それもそんじょそこらの弱さじゃなくて、ほんとなんでそこまで弱くなれるのか不思議なくらいに弱い。
魔力は人間の子供並みだし、身体能力もそこらの子供と良い勝負になるレベル。あげく頭も大して良くないと来た。良いところが無さすぎる。
何よりも問題なのは、そんな弱い自分を本人がまるで変えようとする気配がないことだ。
いや、本人的には変わろうとしているのかもしれないが、正直、主の弱さ的にはそれこそ一回死にかけるくらいの無茶はやらないとどうにもならないと我のこれまでの経験が言っている。
我の経験上、主みたいな引くほど弱い奴が急に強くなるのは、死の縁から復活するかそのまま死んで来世に期待のどちらかくらいのもの。
少なくとも、あんな並のトレーニングをこなすくらいじゃ何も変わらないだろう。
せめて、我を使っても意識がとばないくらいの魔力は持って欲しいものなのだが……。
この調子では我を使いこなすなどというのは夢のまた夢ではないか。
『全く、しょうがない主め』
今日も今日とて、弱い主が少しでも魔力量を増やせるように、寝ている主の魔力を根こそぎ使って人化する。
我を使って意識を失うなら最初から意識を失った状態で使えばいいのだ。我、天才。
なんだか最近寝ても疲れがとれないとかぼやいてたけど知らん。
悪い夢でも見ているのか呻いている情けない主。
その頬をつついて夜明けまでのもうそれほど多くない暇を潰していると、小さく音を立てて扉が開いた。
「……包丁か」
『よく分かったな、勇者。だが、我にはレヴィアという名がある。以後間違えるな。殺すぞ』
「以後……? ……死ぬのに?」
背後から声が聞こえると同時に伝わる金属のぶつかり合う音と微かな痛み。
どうやら人化した我の首にいつも主に付きまとっておる小娘が剣を振り下ろしたらしい。
「ルークに、触るな……アバズレ」
『嫉妬か? 愛い奴め』
これ見よがしにこの期に及んでまだうんうん呻きながら寝ているポンコツ主の頬をつついてやった。




