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我の主は日記好き4
「実際手に入ると結構持て余すな……」
なんだかんだで結局、我はルークに譲られた。
というか、あのユーリとかいう勇者がめっちゃ圧かけて譲らせてた。まぁ、我レベルの魔法道具ともなるとそのくらいしてでも欲しくなるのは分かる。
しかし、そこまでしてユーリとやらが手に入れた我を手にしても、ルークは喜ぶどころか困ったような表情を浮かべている。我の価値が分からん奴め。
「……とりあえず、試してみるか」
しばらく難しい顔をして我を眺めたあと、そう言って立ち上がるとルークは野菜を手に取った。
そして、投げる。
次の瞬間、野菜は我に切られていた。
正直、侮っていた。
これまで我の主は人間性の良し悪しはあれど、揃って優秀な料理の腕を持った人間ばかりだった。
我の包丁としての在り方を考えればそれは当然のことで、それゆえにこのぱっとしない多少料理ができる程度のなんとも平凡な少年がぎこちない手つきで我を使おうともそのくらいは許してやる心づもりでいた。
「おー、凄い切れ味……。つーか、意味分からんくらい軽いな……」
なんだなんだ、なかなか見どころのある奴じゃないか。
気に入ったぞ。二百年ぶりの主様。




