我の主は日記好き2
我は、とある迷宮の隠し部屋に封印されていた。
かれこれ二百年ほど前に当時の主が我を巡って国が三つ滅んだ結果そうなった。我、何もしてないのに。
よっぽどうまく隠された部屋らしく、側を人間が通る気配は感じつつも結局誰にも見つけられることなく気づけば二百年という時間が経っていた。
そして、その時は突然訪れた。
爆風と爆音。粉々に砕け散った壁。
何が起こったのか分からない我のもとに呆れたような声が届く。
「迷宮攻略って……これでいいのか?」
「思ってたより再生速度が早いわね。鬱陶しい……」
「そもそも壁壊すの正規ルートじゃねえよ絶対」
どうやら、迷宮を攻略しに来た冒険者達のようだった。それも少々、いやだいぶ頭のネジが外れた。
我、二百年ちょいこの迷宮にいるけど、壁壊して迷宮攻略しようとする奴とかはじめて見たが?
何なのこいつら。怖っ。
「僕達は勇者パーティだからね! 道を切り開くのも僕達の役目だよ!」
「マジ? 道って物理的なやつなの? 希望的な意味じゃなくて? 適当言ってない?」
どうやら、勇者パーティらしい。
勇者だとか魔王だとか、これまで腐るほどそういう連中は見てきた。なんなら、そういう奴らが主だったこともある。
どうやら、今代の勇者はどうかしているらしい。出会ってすぐどころか出会ってすらいないが、今の時代はこんなのが勇者に選ばれるのか……。時の流れって残酷だな……。
「ルーク、ユーリ。お前らも喋ってないで早く回収手伝えよー。壁が直ったら面倒なんだから」
「あー、悪いレイン。手伝うよ」
「その時はその時でまたメリッサに壊して貰えば良くないかな?」
「よくねぇよ。場所によっては俺が巻き込まれて死ぬだろうが」
そんな他愛もない会話をしながらどうやら迷宮で手に入るものを回収している様子の蛮族勇者共。
正直、あれに拾われるのはちょっと嫌だけど、とはいえこの期を逃してまた二百年誰もいない場所で過ごすのはちょっと堪える。
我は永遠を生きるが、だからといって無限に続く暇に何も思わないわけではあるまいし。
「……っとと、危なっ。……ん、なんだこれ。……部屋、と包丁?」
散乱した瓦礫に足下をとられてふらつきながら入ってきた少年。
それが今代の我の主だった。




