五十日目
朝起きたら、ルークが居なくなっていた。
荷物はあの厄介な魔法道具以外全て残っていて、一目であいつが自分の意思でどこかへ行ってしまったわけではないと分かった。
朝の散歩というわけでもない。そんなことをするくらいなら一秒でも長く寝ていたいのがルークだし。
そうなると、可能性は絞られる。
きっと、寝ている間に浚われてしまったんだ。結界は張っていたし、警戒を緩めていたつもりもなかったけど、魔族に私や私以外の幼なじみの警戒すらすり抜けて誘拐を実行できるだけの隠密行動が可能な幹部がいたっておかしくない。
私の予想はすぐに正解だと分かった。
炎帝を名乗る赤い髪と角の魔族と雷帝を名乗る黄色い髪と角の魔族が私達の前に現れて言った。
「黙って殺されろ。さもなくばお前らの仲間の命はない」
「「あ゛?」」
まず、炎帝を名乗った赤い髪の魔族が塵すら残さず消滅した。
次に、雷帝を名乗った黄色い髪の魔族の半身が消しとんだ。
ほんっと、ユーリもアリスも後先考えずに動くんだから。ルークに何かあったらどうするつもりよ。
「なんで、避けるの……?」
焦点の定まらない目で剣を引きずるようにしてアリスが呟いた。たぶん、あんたが怖いからだと思う。
殺すのは簡単だけど、殺されてしまったら困るのは私達。ルークの前じゃ絶対見せないような顔をしている二人をなんとかレインと宥めて魔族の処理を任せて貰った。
色々と考えたけど、ここで情報を引き出して殺すのはあんまり良い手だとは思えなかった。だから、いくつか話し合いをして、人質をとって脅すことがどれだけ愚かなことか理解させて、それから意図的に逃がしてレインに頼んでバレないように追ってもらった。
これでルークの安全は私が今できる限りでは保証できたと思う。
……それにしてもこの日記、なんか私のことがユーリとかアリスに比べて少ない気がするんだけどどういうこと?
帰ってきたら問い詰めないと。




