四十六日目
領地の三割がすでに侵略されたとはいえ、それは言い換えればまだ領地の七割は人間のものであるということを示す。
その証拠に、昨日までに通った国や町、村は通っただけで中をしっかりと見たわけではないけれど、それほど魔王軍の侵攻を気にしている様子は見てとることができなかった。
けど、今日訪れた都市は少し様子が違った。
道行く人の表情は暗く、何かを怯えるような空気が全体に漂っている。なんでも、隣国が現在進行形で魔王軍に侵攻されているらしい。しかも、かなり劣勢で堕ちるのも時間の問題だとか。
隣国が堕ちれば次は自国の番。当たり前だった毎日はあっという間に消えてなくなり、日々の生活どころか命があるのかすら分からない。そのうえ、その日はそう遠くないところまで迫っている。
死にそうな顔になるのも頷ける。
逃げるにしても、よその国に入るのもそこで生きていくのもそんな簡単なことじゃない。そもそも逃げた先が安全な保証もない。
俺達だって、王国の影響力が少なからず行き届いてる国でなぜかユーリが王家発行の許可証を持っていたから簡単に入れて貰えているけど、そうじゃなかったらきっともっと時間も手間もかかっていただろう。いや、ほんとなんでユーリがそんなの持ってたか想像もつかないけどユーリは凄いなぁ。ほんと何も知らないし想像もつかないけど。
想像もつかないけど!!




