四十四日目
僕の幼なじみにして最大の理解者は、僕達が魔王討伐に行く前日から日記をつけるようになった。
きっと、僕達との思い出を残そうとしてくれているのだろう。優しくて少し照れ屋な彼らしいやり方だ。
さて、そんな彼の日記だが、今日は彼に代わって僕が書かせて貰おうと思う。
先に断っておきたいのだけど、人の日記は勝手に読んだり書いたりすべきものじゃない。レインやアリス辺りはがさつだから気にしないかもしれないが、僕はルークの繊細な一面を知っているから分かる。彼は人に自分の日記を見られることを良しとしない。
では、どうしてそこまでルークのことを理解してなお、彼に代わって日記を書くことを決めたのか。それは彼がもう昼を過ぎてそろそろ夕方になるというのにまるで起きる気配を見せないからだ。
おかげで僕達は揃って朝、昼と食事を抜く羽目になってしまった。食べるものがないわけではないけれど、ここまで我慢してしまうともう彼が作ったもの以外は口にする気にもなれない。
ルークを起こす、ということも考えはしたけれど、すやすやと心地良さそうに眠っている彼を起こすことはとても僕にはできなかった。それは他の幼なじみ達も同じことで、誰が起こすかを揉めに揉めた結果、少し地形が変わってしまった。
ルークがこうも起きない原因は大体分かっている。ここ最近、彼はずっと忙しそうだった。忙しすぎて体調を崩すようなこともあったし、きっと疲れているのだろう。そうなるとなおのこと起こすなんてできない。
なにより、普段は僕達のことをまともに頼ろうとしない彼が無防備に頭を預けてくれているこの時間を失うのが勿体ない。地形を変えてまで勝ち取った権利だ。誰にも譲るものか。
さて、それにしてもさすがに夕飯時には起きて欲しいものだ。魔王討伐の旅で初日から断食なんてことは勘弁して欲しい。
ふふっ、きっと起きたら驚くだろうな。それから心配もするだろう。でも、大丈夫、きちんと師匠達に書き置きは残してきたから。
◇◆◇◆◇
お前、ほんといい加減にしとけよ。




