二十九日目
はい、不敬罪です。ありがとうございました。
……あいつらほんと死にたいの?
なんでこういうことしちゃうの?
そんなに第三王子のこと嫌い?あいつ頭はあれだけど普通にいい奴だと思うよ?なんなら頭があれなところとかお前らに似てて相性いいと思うよ?
同族嫌悪?同族嫌悪なのかな?
今日、起きるのが凄く嫌だった。
嫌な予感、というか予感を通り越して確信があったのだ。
そして、その予感は全く喜ばしくないことに当たってしまった。
重い体を引きずるようにして、ランニングへ向かおうと扉を開けると呼び出しを告げられたのだ。
大人しく着いていくと、なぜ呼び出されたのか分からないという表情できょとんとしている幼なじみ達と傍目に見ても分かるくらいキレてる王様の姿があった。
なんか、俺待ちだったらしい。俺が起こしても起きなくて、けど無理に起こそうとしたら殺されるよと幼なじみ達が脅したせいで待つしかなかったらしい。勝手なこと言うのも大概にしろよこいつら。
そもそも、俺ほとんど無関係なんでほんと待たなくていいです……。
案の定、呼び出しの理由は昨日の出来事についてだった。
つらつらと感情を殺して昨日のことについて述べる宰相に、レインは変わらず呆けたような顔を、メリッサは得心がいったというように額を抑え、ユーリとアリスも思い出したようでポンと手を打った。ポンじゃねーよ。なめてんのか。
一通りのあらまし、いくつか抜けている部分はあるものの昨日の出来事の大まかな話を宰相が終えると、怒りをおし殺した震える声で王様が「……このようなことが、今後はないようにと言ったはずだが?」と問うた。
いや、ほんとに王様は人間できてると思う。こんな状況でも理性を手放さないのだからさすがは王だ。それに対して首を傾げて「交ぜてって言われたから混ぜただけですよ。ミンチみたいに」とか言っちゃうバカ勇者は人間名乗るのもおこがましいよね。全然うまくねーんだよ。ドヤ顔でこっち見てくんじゃねーよ。
プルプルと明らかに人間がしていい震え方じゃない震え方をしている王様にせめて何かないかとかける言葉を探す俺を遮ってアリスが続けた。
「ミンチにしちゃってごめんなさい……」
もう煽りにしか聞こえねえんだよ……。
ブチッと何かが切れる音がして、床に崩れ落ちるようにして王様は倒れこんだ。




