十七日目
めちゃくちゃ意外そうな顔で「え? 一回死んでみる気にならなかったんですか?」って聞かれた。なるわけねぇだろ。ばかなの?
当然、師匠に向かって「ばかなの?」なんて言えるはずもないので、この間貸して貰った本を机に置くことでその問いへの答えとしておいた。
色々と考えた。
あいつら、実は俺のこと嫌いなんじゃない?とか。
あいつら、俺のこと殺すつもりで連れてきた?とか。
むしろそれの方がしっくり来るな、とか。
まぁ、それはそれとして死んで欲しくはないな、とか。
自分のことは、自分でそれなりによく理解しているつもり。
アルマさんの言う通りに死ぬ一歩手前まで頑張ったとして、それで自分がどこまでいけるかも大体想像はつく。きっと、何もできやしない。きっと、というか絶対。なにしろ、そこはすでに一回通った道だから。
努力は裏切らない。が、報われるとも限らない。
何か一つくらいは俺にだって。そう思って探した先にはいつだってあいつらの誰かがいた。そして、なまじ努力の成果を得ていたせいで、それがどう転んでも追いつけない絶望的な差であることを知らされた。
自分を卑下するつもりはない。努力を否定するつもりもない。むしろ、頑張っている人にとって俺は理由をつけて努力から逃げようとしている卑怯者に見えるだろう。
でも、努力は現実を見ない免罪符にはなり得ない。
だから、考えて、悩んで、苦しんで、それで出した結論だ。
あいつらの横に立てたことなんて、これまでも一度たりともないのだから。ずっと後ろで、これからも後ろで。
無い物ねだらず、見えるものに手を伸ばして、常に最良の選択と足りないを埋める欠片。
そういうものに俺はなりたい。
……いやほんと、師匠様のありがたい進言を素直に受け取れないひねくれた弟子で申し訳ない。




