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まだ魔王討伐に行くのは優秀な幼なじみ達だけだと思っているごく普通の少年の日記【連載】  作者: 日暮キルハ
まだ魔王討伐に行くのは優秀な幼なじみ達だけだと思っているごく普通の少年の日記

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十二日目

 目が覚めたら、身体中がバキバキに凝っていた。どうやら、昨日の俺は日記を書きながらそのまま寝落ちしたらしい。

 外の太陽はすっかり昇りきっていて、時計の針は昼過ぎを示している。寝た場所が寝た場所だけにいまいち体の疲れがとれた感じはしないけど、頭の方はしっかり休養をとれたらしくすっきりしている。


 で、せっかくなので今日記をつけているわけだが……なぜ、アリスは俺のベッドで寝ているのだろうか。


 三度見くらいはした。けど、何度見てもやっぱりアリスは俺のベッドで寝ている。すこぶる幸せそうな寝顔で。……なんで人の部屋に勝手に入って勝手に寝てるの?何しに来たの?


 いや、たぶん遊びに来たのだと思う。これまでの流れから考えてそれはほとんど間違いない。でも、仮にそうだとして、叩き起こすでもなんでもなく、勝手に部屋の主のベッドで眠るなんてことあるだろうか。……でも、アリスだもんなぁ。あるかもなぁ。


 ……起こす?起こせば色々分かるよ。分かるけど……分からない方がいいことも世の中いっばいあるからなぁ……。


 例えば、ドアの下の隙間から血がにじみ出てる理由とか。

 ああいうのとか、知らない方がいいことの分かりやすい例だよね。

 こういうのはさ、もしかしたら幼なじみが何かしら関わってるかもとか、関わってる可能性が高いとか、絶対に関わってるとか、むしろあいつが諸悪の根元に違いないとか、朝っぱらから死にたい気分になりたくないなら考えちゃいけないし、確認をとってもいけないと思うんだ。

 

 知らなかったら事件は事件じゃないんだよ。

 確かめなかったら事実は事実じゃないんだよ。


 扉の前の血溜まりなんて見えない。

 廊下から獣と思わしき唸り声なんて全然聞こえない。

 さっきから徐々に獣臭さと鉄臭さが濃くなっていってる気なんて全然しない。


 今、悲鳴が聞こえたのはきっと気のせいだし、アリスがなんか寝言で「……ルーク、この、大きいの、美味しく、して……」とか言ってるのも気のせいに違いない。












 ……そうだ。

 きっと、これは夢だ。

 こんなことが起こるかもって想像して、その想像を夢に見てるんだ。

 そうに違いない。








 












 だから、ノックの音なんて聞こえない。

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