タイトル未定2026/04/17 18:36
5 ○大学キャンパス(昼)
健司と遼は、キャンパスの芝生の上、木の下に座っている。
遼の手には、手書きのメモでぎっしり埋まったノートがある。
健司はそのノートに気づき、微笑む。
健司「昨日の夜、すごく頑張ったんだな。」
遼「ああ。思いついたことを全部書き出しただけ。
ほら。
ゲーム、自動で走るバイク、フィットネス器具、
脳トレの道具とか…」
健司は芝生にごろんと寝転がり、空を見上げる。
遼「健司は? 何かアイデアある?」
健司「俺? まあ…特にないけど。」
遼は健司のバッグからノートを取り出し、興味深そうにめくる。
遼(読みながら)「『理想のパートナーを見つける方法』…?」
遼は通り過ぎていく学生たちに視線を移す。
楽しそうに話す女子たち、寄り添って歩くカップル、笑い合う友達。
遼「でもさ…どうやって『理想の相手』を見つけるんだろうな?」
健司は肩をすくめる。
健司「運とか?」
遼は首を振り、真剣な表情になる。
遼「科学者は『運』なんて信じない。
すべてのことに理由があるはずだ。」
健司は少し笑い、興味深そうに涼を見る。
健司「…まあ、たしかに。」
遼はノートをパタンと閉じ、自信に満ちた顔をする。
遼「じゃあ決まりだな。
難しいけど、難しいほうが面白い。」
健司「ちょっと待てよ…本気なのか?」
遼「うん。なんでか知らないけど、
急にやってみたくなった。」
健司「…うん、俺も同じだよ。」
二人は静かになり、視線は自然と遠くの空のほうへと向かう。
6 ○大学・カフェテリア(昼)
健司と遼は、カフェテリアのテーブルで並んで座っている。
目の前には食事のトレーが並んでいる。
遼はノートを開き、ペンを手にしている。
二人はあたりを見回しながら、女子学生やほかの学生たちを何気なく観察する。
遼「よし、どこから始める?
健司は、どんな子がタイプなんだ?」
健司は戸惑った表情を浮かべる。
健司「ちょっと待てよ。
これって、俺の相手を探す話なの?」
遼「いや、俺のじゃないのは明らかだろ。」
健司「なんでだよ?」
遼は肩をすくめ、笑う。
遼「これはお前が言い出したテーマだろ?
やるのは、俺かお前のどっちか。
で、テクノロジー担当は俺だから…
テスト役はお前のほうが向いてる。」
健司はため息をつきつつも、うなずく。
健司「…はいはい、わかったよ。」
遼「まずはさ、男がどうやって女の子を選ぶのか
理解しないとな。」
健司は近くの女子学生をちらっと見て、考える。
健司「やっぱり見た目じゃない?
例えば…長くてきれいな髪とか…。」
遼はそれを書き留める。
遼「長い髪、ね…。」
そのとき、短髪の女子学生が通りかかり、健司にちらっと視線を向ける。
健司はすぐに興味を示す。
健司「短い髪も…いいな。」
遼は呆れたようにニヤッと笑う。
遼「さっき長い髪って言ったよな?」
健司は気まずそうに肩をすくめる。
健司「いや、短いのもいいよ。
カットの仕方によるっていうか…。」
遼は苦笑しながら首を振る。
遼「これは思ったより大変そうだな。
よし、最初の課題。
誰かを『お、いいな』って思ったら、
その子の名前をメッセージで俺に送れ。
リストを作る。」
健司「俺が『ちょっといいな』って思った子?
それとも『本気で付き合ってみたい』って子?」
遼「今は、とりあえず目にとまった子でいい。」
健司は片眉を上げて、面白そうに笑う。
健司「それ、めちゃくちゃ長いリストになりそうなんだけど。」
遼は自信満々にうなずき、ニヤリとする。
遼「長ければ長いほどいい。」
7 ○大学・廊下(昼)
健司は、人で混み合った大学の廊下を歩いている。
すれ違う女子学生たちに、健司の視線がさりげなく流れる。
健司を見て軽く微笑む子もいれば、まったく気にせず通り過ぎる子もいる。
健司は、人に気づかれないようにスマホを取り出し、素早く文字を打ち込む。
廊下を歩きながら、気になった女子学生の名前を
遼にメッセージで次々と送っていく。
8 ○大学・教室(同時)
遼は席に座り、スマホを手にしている。
画面には次々とメッセージが届き、いろんな女子学生の名前が表示される。
通知の数はあっという間に増えていく──45、47、51…
遼はスマホを机に置き、呆然とした表情で教室を見回す。
少しして、健司がさりげなく教室に入り、いつもの席に座る。
二人は目を合わせるが、何も言わない。
学生たちは次々と着席していく。
健司の隣には、女子学生が座っている。
教室の前方では、教師(45)が黒板のそばに立っている。
教師「はい、じゃあ昨日の続きから始めましょう。
十二ページを開いてください。」
健司と隣の女子は本を開く。
ふと目が合い、恥ずかしそうに微笑み、すぐに視線をそらす。
健司の視線が下に向く。
女子のスカートが少し上がり、机の下からのぞく素足に気づく。
その顔に、かすかな笑みが浮かぶ。
健司はこっそりスマホを取り出し、またメッセージを送る。
遼のスマホが震える。
気になって画面を見ると、新しい名前が表示されている。
遼は驚いて教室を見回し、健司のほうを見る。
健司は今は真剣な顔で、教師を見つめている。
教師「誰か、この段落を読んでくれる人?」
遼のスマホがまた震える。
画面を見ると、今度は教師の名前が表示されている。
遼は目を見開き、ゆっくりと健司のほうを見る。
健司は遼の困惑した視線に気づくと、ただ肩をすくめて、無邪気に微笑む。
9 ○大学・図書館(昼)
健司と遼は自習用のテーブルに座り、目の前にノートを広げている。
遼はスマホを確認し、圧倒されたような表情をしている。
遼「健司、76人だぞ。」
健司「頑張ったんだけどな。」
遼「ここから絞るの、大変だぞ。
しかも、その中から理想のパートナーを
見つけないといけない。
(考えながら)
男って、女の人のどこに惹かれるんだ?」
健司「んー…。」
遼「どうやってこの子たちを選んだんだよ?」
健司「見た目だけで言えば、 みんな魅力的だった。
ある子なんて『完璧じゃん』って思った。
でも別の子を見たら、その子も
『完璧じゃん』って思ってさ。
そこで気づいたんだよ…
どっちも“完璧”なら、どっちを選んだらいい?
結局、差なんてないんだよ。誰でもいい。」
遼「人って最初は誰だってちょっと取り繕うからな。
自分をよく見せようとする。」
健司「その通り! そこがポイントなんだよ。
だからこそ、もっと奥を見なきゃいけない。」
健司がふと手を止め、ひらめいたように顔を上げる。
健司「待てよ…そうだ!
普通は、男はまず見た目を見てから決める。
でも僕たちは、先に決めてから見るんだ 」
遼「俺たちは、実際にその関係がどうなるかが
見通せる装置を作る…。
天才じゃん、それって。」
健司「プロジェクト名、どうする?」
遼「『ザ・ロング・マン(The Wrong Man)』。」
遼はテーブルのノートを素早くまとめる。
健司は驚いた表情で彼を見る。
健司「ちょ、どうしたんだよ?」
遼「これ、すごいぞ!
実験の細かいところ、考え始めたいから、
先に帰る!」
健司「わかった。あとでそっち行くよ。」
遼はワクワクした様子で図書館を出ていく。
健司は自分のノートをまとめ、バッグにしまう。
リュックを肩に掛けて出口へ向かう。
歩いていると、小さな学生グループがテーブルを囲んで
熱心に話しているのが目に入る。
その中に、同級生の田中舞がいる。
彼女は誰かの気配を感じたように少し振り向き、健司と目が合う。
健司「おお、けっこう大人数だね 。
一緒にひとつのプロジェクトをやるの?」
舞「そう。子どもたちの為になるものを
考えてるの。」
健司「それは意義がありそうだね。」
舞「よかったら、一緒にやらない ?」
健司「もう友達と進めてるんだ。」
舞「どんなプロジェクトなの?」
健司は少し考え、ためらう。
健司「まだ具体的なことは何も…
まあ、そのうち、かな。」
舞「そっか。じゃあ、頑張ってね。」
健司「舞もね。」
健司は軽く会釈して、その場を離れ、廊下へと歩き去る。




